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フランスはなでしこの双子の姉妹!?
敗戦の裏にある佐々木監督の思惑。
text by
河崎三行Sangyo Kawasaki
photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO
posted2012/07/20 11:35
佐々木監督は「自分たちのリズムでプレーを正確にやれるかどうかが決め手だった。反省もありますが成果もあった」と試合後に述べた。主将の宮間は「今日の私たちの出来では勝てないでしょう」と素直に敗北を認め、澤は「向こうの方が運動量が多かった。ただ、いい形で崩せたり、シュートチャンスもあった」とコメントした。
なでしこは疲労のピークで敢えて強豪チームと戦った!?
日本にエクスキューズがあるとすれば、五輪決勝までの長丁場を乗り切るため佐々木則夫監督が課してきた、連日のハードトレーニングによる疲労が現在まさにピークであること、そして今回使われたスタジアムの芝の深さに戸惑ったことだろうか。
だから試合開始から選手たちの足が動かずプレッシングの先手争いに敗れ、パスやトラップやドリブルのコントロールが乱れて相手にボールを渡してしまっていた。
しかしこれらの点については、心配するに及ばないだろう。イギリス入りした後は練習の強度を落として体力を回復させるだろうし、北京五輪やドイツ女子W杯でもそうだったように、日本と勝手が違うピッチにも選手はそう時間を要さず慣れていくはずだ。
「いい相手とオリンピックの準備になる試合ができた」
佐々木監督は試合後、
「いい相手とオリンピックの準備になる試合ができた」
と振り返った。これは虚勢を張っているわけではないだろう。
主力選手の大半がけがや所属クラブの都合などで来日できず、あまりに骨のない相手だったオーストラリアとの壮行試合では得られなかった課題――技術に加えて体格と身体能力を備えたチームにプレスがかからない時、どう対処すべきなのか――を突きつけられ、再検討する機会を与えられただけでも、今回のフランス戦は大きな意義があった。
個人的には、極限の消耗状態で戦った昨年の五輪アジア予選を通して要諦を掴んだ、自陣に引いて堅守に徹するリトリート戦術をうまく生かせればと思っているのだが。
ひとつ懸念材料があるとすれば、センターバック熊谷紗希のマークの甘さが改善されていないことだろうか。