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レブロンもコービーもTV局が操る!?
NBAプレーオフに見る米国スポビズ界。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byNBAE/Getty Images
posted2010/05/19 10:30
試合後、セルティックスのケビン・ガーネットと健闘を讃え合うレブロン・ジェームズ
週末と月曜のテレビ中継でチームの人気度が分かる。
しかし、金曜日の夜は在宅率が低く、アメリカのテレビ、広告業界にとっては「魔の時間帯」と呼ばれている。出かける人が多いから、テレビを見ている人の総数が減ってしまうのだ。
レイカーズは二度の週末に加え、月曜夜にも試合が組まれていた。
アメリカ人は月曜の夜にスポーツを見る習慣を持っているから(例えばNFLの番組「マンデーナイト・フットボール」。週に1試合だけ好カードが月曜夜に組まれており、いつも高視聴率を記録する)、実はそれなりの数字が期待できるのだ。
いかにレイカーズが人気チームなのかが試合日程からも分かるということ。
一方、キャバリアーズの方もセルティックスとのシリーズは、第1戦、第4戦が週末に組まれていた。
ウィークエンドには人気チームのシリーズを放送するのが定番なのだ。
フレキシブルな対応をするアメリカの放送局。
アメリカでは、試合日程をフレキシブルに移動させるのは珍しいことではない。カレッジバスケットボールの準決勝、「ファイナルフォー」では数字が取れそうな試合を必ず第2試合に持ってくる。
日本にたとえるなら、夏の甲子園の準決勝の2試合のうち、視聴率が取れそうな対戦カードの方を意図的に準決勝の2試合目に組むということだ。
アメリカでこんなことが可能なのは、その競技の統括団体と、放映権を持っている放送局のパートナーシップがとてつもなく強固だということにつきる。
経済原則で考えるなら、レブロンの来季は……。
経済原則が優先されることが多いアメリカのスポーツビジネス。
その観点からいうなら、キャバリアーズとの契約が切れるレブロン・ジェイムスはニューヨーク・ニックスへ移籍して欲しい……と思っているファンやメディア関係者は多いだろう。
レブロンのニックネームはキング。キングがニューヨーク降臨にすれば、メディアの露出も大きくなり、NBAが別の次元で活性化する可能性があるのだ。
もしそうなったら、クリーブランドのファンはかわいそうだが……。
レブロンの決断に注目が集まる。
おっと、ひじをまずは治さないとね。