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交流戦制した巨人の独走は許さない!
中日の試合前練習に見た試行錯誤。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/06/20 13:10
2年連続交流戦勝ち越しを決めた中日・高木守道監督。「打ててないんでね。勝ち越しは十分ですよ。余裕で勝ってる試合なんてひとつもないんだから」と安堵のコメントを残している。
スタンドティーを支持する巨人・村田修一。
あくまで個人的な意見だが……コーチらが斜め前方に立ち、下からボールを投げて行うティー打撃の練習をシーズン中にやることに、劇的な効果があるとは感じない。
プロ野球選手の多くが、試合前練習で投げるティーバッティングをやっているのは、即効性の変化を求めているということではなく、身体を慣らしているだけだろうと思っていた。
試合前練習で、スタンドティーの効果を支持する巨人・村田修一は、面白い証言をしてくれた。
「僕が投げるティーをしないのは、投げる方も、打つ方もどちらも気を使いながらやることになるから。投げる方はいいところに投げないといけないし、打つ方も当てちゃいけないとか思うし、いい練習にならない。スタンドティーだったら、自分のスイングで打てる。ここ数年、ずっとこっちの方が自分のスイングを確認しやすいし、良いと思ってやっている」
交流戦から一気に打線が上向いてきた巨人。
もっとも、ここではスタンドティーが良いか、投げるティーが良いかの議論をしているわけではない。
巨人打線は、交流戦が始まって一周りの対戦が終わった頃になると、各選手のバッティング・スタイルが微妙に変化していた。試合前練習だと、身体の軸をまっすぐに保ったまま自身の姿を大きな鏡に映してスタンドティーを打ち続ける坂本の姿が良く見られた。その練習風景を見るだけで、打撃向上への飽くなき意欲をひしひしと感じることができた。
こんな見過ごされがちな試合前練習の風景の変化から、ここ最近の巨人好調の秘密が見えてくる。現在の安定した強さの裏側には、やはり絶え間ない、細かい練習内容の工夫があるのだな、と少なからず腑に落ちる気持ちがした。
だが、この「工夫」という点では、ライバル中日も負けていない。