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ユーロ史上初の連覇を狙うスペイン。
絶対王者に貼り付く4つの不安要素。 

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横井伸幸

横井伸幸Nobuyuki Yokoi

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photograph byPenta Press/AFLO

posted2012/06/09 08:01

ユーロ史上初の連覇を狙うスペイン。絶対王者に貼り付く4つの不安要素。<Number Web> photograph by Penta Press/AFLO

決して油断はしていないというスペイン代表監督デルボスケ。だが、6月3日の中国代表との親善試合が1-0の辛勝だったことで、内外メディアからその実力を危ぶまれることに。「スペイン代表は常に大きな重圧がかかっている。我々がもしユーロでの優勝を楽観視しているとすれば、それは傲慢というものだ」とコメントしている。

 FIFAランキング1位でディフェンディングチャンピオン。その上ワールドカップも制しているスペインを、英国の主要ブックメーカーから各国のメディアまでが、ユーロの優勝候補に挙げるのはもっともである。しかし、大会史上初の連覇に向けて、不安要素がないわけでもない。

 そこでひとつずつ取り上げて検証してみよう。

検証その1> 前回大会の優勝から2010年のワールドカップ制覇までは2敗(うち1敗はワールドカップ初戦)しかしていないのに、世界王者になってからの2年で4度敗れ、2度引き分けている。右肩下がりの兆しでは?

 スペインは'10-'11シーズンにメキシコと引き分け、アルゼンチンとポルトガルに敗れた。昨シーズンはコスタリカと引き分け、イタリアとイングランドに負けた。

 だが、その全てにおいて、選手にも監督にもメディアにも、慌てた様子はなかった。どれも所詮は親善試合。“本番”になったら大丈夫という自信があったからだ。このメンタリティはタイトルに無縁だった頃のスペインに欠けていたものであり、現チーム最大の特長でもある。

 慢心と捉える向きもあるだろうが、実際のところスペインは予選を全勝し、危なげなく本戦行きを決めた。右肩下がりとはまだ言えない。

準備期間の長さは選手に対する信頼の深さに反比例する。

検証その2> ほとんどの代表が国内のシーズン終了とともに選手を集め、最終調整を始めたにもかかわらず、スペインは6月1日になってようやく全員が揃った。遅すぎるのではないか?

 5月25日の国王杯決勝戦に出場したバルサとアスレティックの選手に合流前の休暇を与えたからだが、1日集合で間に合うと判断したのはデルボスケ監督である。

 前回大会の後、前任ルイス・アラゴネスから代表を引き継いだデルボスケは以降、選手の入れ替えを最低限に留め、主要選手には全幅の信頼を寄せてきた。そして、チームの和と蓄積を大事にしてきた。こうしたやり方のおかげで今回は準備期間を短縮できたのだろう。

 一方で、ワールドカップ後、攻撃のバリエーションを増やすことを模索してきた監督にとって、チームの中核をなすバルサ組の不在は、実験のチャンスとなった。5月26日にセルビアと、30日に韓国と行った親善試合には、最終的なメンバーに選ばれなかった者も含め、各ラインで非レギュラー組のプレイを試している。

 総合的に見て、集合の遅れは問題にならない。

【次ページ】 “スペイン対策”を打ち破る、攻撃手段を準備済み!?

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