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ユーロ史上初の連覇を狙うスペイン。
絶対王者に貼り付く4つの不安要素。 

text by

横井伸幸

横井伸幸Nobuyuki Yokoi

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photograph byPenta Press/AFLO

posted2012/06/09 08:01

ユーロ史上初の連覇を狙うスペイン。絶対王者に貼り付く4つの不安要素。<Number Web> photograph by Penta Press/AFLO

決して油断はしていないというスペイン代表監督デルボスケ。だが、6月3日の中国代表との親善試合が1-0の辛勝だったことで、内外メディアからその実力を危ぶまれることに。「スペイン代表は常に大きな重圧がかかっている。我々がもしユーロでの優勝を楽観視しているとすれば、それは傲慢というものだ」とコメントしている。

決定力に欠くFWをサポートする2列目の重要性。

 次にビジャの穴である。

 デルボスケはフォワード枠でトーレス、ジョレンテ、ネグレドを招集しているが、ジョレンテ以外の2人にビジャのごとく得点しつつ自分でもゴールチャンスを作る力はない。しかしジョレンテは、3人の中でいま一番乗っているフォワードだけれど、スペインのプレイスタイルには合わない。となるとデルボスケはトーレスを選ぶだろうが、今季の彼はゴール日照りに悩んできた……。

 つまり、ビジャの欠場により、スペインはただでさえ足りない得点力をなお落とすことになるのだ。もともと2列目の決定力を重視してきたチームだが、その重要度は今大会さらに増すだろう。

中盤の働きがタイトル防衛の行方を左右する。

 ただ幸い、中盤の面々にはいま当たりがある。最後の調整試合となった3日の中国戦でもゴールを決めたシルバはデルボスケ期のチーム得点ランキングでビジャに次ぐ2位。セスクはバルサの今季の全公式戦で通算15得点。シャビは14得点。イニエスタは8得点。マラガで9得点のカソルラはうち8ゴールをペナルティエリアの外から決めている。

 ブスケッツとシャビ・アロンソを一緒に使い続けるなど保守的な選手起用が目に付くデルボスケだが、この黄金の中盤をうまく機能させることができれば、ビジャの穴を感じさせない試合は可能だ。また、中盤がしっかりボールをコントロールし、敵に攻撃の機会を与えなければ、プジョルの欠場も忘れられる。

 スペインはやはり中盤。ここが巧く働けば、決して楽ではないだろうが、タイトル防衛も夢ではなかろう。

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ビセンテ・デルボスケ

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