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欧州に移ってF1は第2ラウンドへ。
新興3チームがノーポイントの裏事情。
text by
西山平夫Hirao Nishiyama
photograph byHiroshi Kaneko
posted2010/05/08 08:00
イギリス人のコーリン・チャップマンが設立したこの名門チームは、チームを所有する会社がマレーシア企業なのでマレーシアのチームとして登録されている
下位チームにポイント獲得の奇跡をもたらす恵みの雨。
とはいえ数レースに一度は奇跡が起こりかけることもあり、序盤4戦でいえば雨に翻弄された中国がそうだった。スタート開始直後にセーフティカー出動。ここで雨が強まると読んだ上位陣がこぞってピットイン。この時、予選21位だったコバライネンはドライタイヤのままステイアウトしたがためになんと7位まで浮上した。普通なら10位内フィニッシュを狙えるにじゅうぶんなポジションにいたわけだ。セーフティカーがひっこんでからも依然として6位につけていた。
ところがタイヤを再交換したトップチームのマシンが後ろから追い上げにかかるやパフォーマンス不足を露呈し、7位→8位→11位と一気に転落していき、元の木阿弥と化してしまった。同じようなことは一つ前のマレーシアでもあった。雨で混乱した予選でコバライネンは15位につけたが、決勝では晴れてしまって瞬く間に定位置であるポイント圏外に戻るしかなかったのだ。
最もポイント獲得の可能性あるのはロータスか?
それでも不振の新興3チームの中ではコバライネン、トゥルーリを擁するロータスがいちばんポイントに近い存在であることは間違いない。手堅いマシン造りで4戦連続完走しているし、しかもこのチームには、コンストラクター上位のザウバー、トロロッソ、ウイリアムズ、フォースインディアはおろか、ルノー、さらにはメルセデスGPにもない“財産”があるからだ。
それは“2人のドライバーが優勝経験者”であること。いつか1ポイントをもぎ取った暁にはピット裏でシャンパンの雨が降り、チーム全員の雄たけびが弾けるに違いない。その日が来るのは……と我に返れば、やっぱり日暮れて道の先行きは見えないのである。