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欧州に移ってF1は第2ラウンドへ。
新興3チームがノーポイントの裏事情。
text by
西山平夫Hirao Nishiyama
photograph byHiroshi Kaneko
posted2010/05/08 08:00
イギリス人のコーリン・チャップマンが設立したこの名門チームは、チームを所有する会社がマレーシア企業なのでマレーシアのチームとして登録されている
「日暮れて道遠し」というのは、こういう時に使うべき言葉なのかもしれない……と、この3つのチームを見て思う。序盤4戦でノーポイントに終わったロータス、ヒスパニア、ヴァージン、新興3チームである。
ちょっとまて、我が小林可夢偉の属するザウバーも得点ゼロではないか、それをいうなら4チームだろうという反論が出るのは百も承知。事実はその通りではあるが、マシンのパフォーマンスからいえばザウバーは本来こんなところにいるようなチームではない。
惨憺たるタイムで討ち死にした中国GPでの新興3チーム。
たとえば一番最近のレースである中国の予選前試走を振り返ってみる。路面コンディションは良好で、トラブルやアクシデントがない限り偶然の入り込む余地はない。すなわちマシンのパフォーマンスがそのままオーダーとなって表れる条件が備わっていた。
24台が参加したこのセッション、19位から24位まで零点更新組の3チームが独占(?)している。トップタイムを出したウェバーから、18位ヒュルケンベルグまでは2.5秒差。この中に18人がひしめいているわけでシビアな戦いと言える。ラップタイムの線グラフは、ウェバーからヒュルケンベルグまで緩やかな右肩下がりを示した(小林可夢偉は10位、デ・ラ・ロサは17位)。
ところが19位のグロック(ヴァージン)はウェバーと4.2秒差。ヒュルケンベルグよりもさらに2秒近く遅い。下降線が緩やかな下り坂から急に崖下に落ち込んでしまい、ここにマシン・パフォーマンスの明らかな断層が見える。
19位以下の面々を記せば、グロック→コバライネン(ロータス)→ディ・グラッシ(ヴァージン)→トゥルーリ(ロータス)→セナ(ヒスパニア)→チャンドック(ヒスパニア)となっている。ウェバーとチャンドックの差は5.8秒で、これだったらF1直下クラスのGP2の方が速いのではないか? と勘ぐりたくなるほどだ。
この状況は予選になってもほとんど変わらず、案の定、新興3チームの6台は枕を並べて討ち死に。開幕以来ずっとこういう状況が続いているのである(例外については後で記す)。おそらくヨーロッパ・ラウンドに入っても事態は改善されるどころか、トップとの差が大きくなるだけと予想される。