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未来の落合博満や野茂英雄のため、
プロ野球界は育成システムの強化を! 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2012/05/17 10:30

未来の落合博満や野茂英雄のため、プロ野球界は育成システムの強化を!<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

昨年まで和田毅がつけていたホークスのエースナンバー「21」を背負う千賀滉大。2度の1軍登板は自滅の形となったが、19歳右腕の可能性は首脳陣も認めている。

育成ドラフト出身者が主力に成長する確率は低いが……。

 アマチュア野球を見続けている私には、この発言が痛いほどよくわかる。

 たとえば、'11年のドラフトで指名された72人を私はほとんど知っている。見たことも聞いたこともない選手は3人しかいない。ところが、ドラフト会議のあと時間を置かずに行なわれる育成ドラフトで指名された26人のうち、14人は見たことも聞いたこともない選手だ。

「見たことも聞いたこともない」多くが日本の独立リーグの選手たちで、彼ら独立リーグ出身で活躍する選手は、「活躍基準」を下げても内村賢介(北信越BCリーグ/石川→楽天 '07年育成1位)、角中勝也(四国アイランドリーグ/高知→ロッテ '06年7巡)、金無英(四国・九州アイランドリーグ/福岡→ソフトバンク '08年6位)くらいしかいない。独立リーグの選手が多くを占める育成ドラフト出身で活躍する選手が少ないのは当然である。

 これまで育成出身で主力選手になったのは次の選手たちだ。

◇'05年……山口鉄也(投手・巨人1位) 
◇'06年……中村真人(外野手・楽天2位)、松本哲也(外野手・巨人3位)、山田大樹(投手・ソフトバンク1位) 
◇'07年……内村賢介(内野手・楽天1位) 
◇'08年……岡田幸文(外野手・ロッテ6位) 
◇'09年……国吉佑樹(投手・横浜1位)

 過去7年で131人が育成ドラフトで指名され、一軍の戦力になっているのはわずか7人。成功率は約5パーセントである。そんなに活躍する選手が少ないならやめちまえ、と言う人がきっといると思う。しかし、今後この制度がなければ生み出されないであろう選手がいて、そういう中に本来は日本の野球界を背負って立つ選手がいるかもしれないと思うと、私にはとても「やめちまえ」とは言えない。

育成システムは埋もれた才能の受け皿であるべき。

 今縮小している社会人野球がもし'70~'80年代から縮小していたら、東洋大を半年で辞め、帰郷した秋田のボウリング場で働いていた落合博満(東芝府中→ロッテ '78年3位)や、無名の高校時代を過ごした野茂英雄(新日鉄堺→近鉄 '89年1位)のプロ入りはなかったかもしれない。当時、広大な裾野を持つ「社会人野球」という受け皿があって初めて、落合も野茂もたっぷり蓄えていた潜在能力を発揮することができたのである。

 今、社会人野球は長引く不況を受けて数を減らし、'63(昭和38)年には237あった企業チームが'11年には83まで数を減らしている(日本野球連盟ホームページ「加盟チームの推移」より)。日本の野球界のために受け皿になっていた社会人野球が低迷しているなら、今度はプロ野球が選手の受け皿になってやろうじゃないか――育成システムにはそういうプロ野球人たちの意気込みが感じられるのである。

【次ページ】 プロと社会人の垣根を取り払う、レンタル制度の検討を。

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