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膨大なデータの海から、
プロ野球の真実を探る。
~セイバーメトリクス入門書への提言~
text by
小川勝Masaru Ogawa
photograph bySports Graphic Number
posted2012/04/17 06:00
『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1』 岡田友輔他 著 デルタ 2200円+税
日本ハムの今年の戦い方についての的確な展望。
なぜ13という係数になったのかは、本書にも書かれていないし、その他の文献を見ても出ていない。セイバーメトリクスのさらなる普及には、研究者が、こういった係数の意味を説明して、計算式のすべての部分について、一般の野球ファンに理解できるように、語っていく必要があるのではないだろうか。
日本ハムの今年の戦いを展望したページを見ると、ダルビッシュの抜けた先発投手陣について「打球管理すなわちフライよりもゴロを打たせる能力と内野陣とのコンビネーションでアウトを取っていくタイプが多い」との記述がある。これは的確な指摘で、田中賢介、金子誠の二遊間と、三塁の小谷野栄一という日本ハムの内野陣は、現在12球団随一と言っていいレベルだ。武田勝、ケッぺル、ウルフ、斎藤佑樹は、いずれもこの指摘の通り、内野陣とのコンビネーションで持ち味を発揮している投手陣である。
いずれにしても、セイバーメトリクスは、まだまだ開発途上の分野であり、この本の執筆陣もそのことは認めている。本の中で疑問に思ったことは、メールでの質問も受け付けていると、後書きの中にある。この本の出版から、新たな議論が深まって行くかも知れない。