球道雑記BACK NUMBER
新人王候補は藤岡だけじゃない!?
ロッテのルーキー益田直也が歩む道。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/04/17 10:30
中後悠平、藤岡貴裕ら同期のルーキー3人組で開幕から一軍登録されている益田直也。すでに先発として2勝している藤岡は、開幕早々から新人王候補筆頭として騒がれているが……。
千葉ロッテ開幕4連勝――。
球団史上60年ぶりの快挙の中心に益田直也の姿があった。
開幕後4試合全てに登板して無失点。4連勝の原動力となった22歳のルーキーは、試合後のベンチ前で報道陣に囲まれると、一躍、時の人になっていた。
藤岡貴裕、中後悠平の影に隠れた4巡目指名。
オープン戦8試合連続無失点を記録していた益田。自らの手で開幕一軍の座を手繰り寄せた。
「プロ入りが決まったときは嬉しい気持ちと不安な気持ちと半々でしたね。自分が本当にプロで通用するのかって正直思っていました」
入団時は藤岡貴裕、中後悠平の陰に隠れた4巡目の指名だった。自主トレ、キャンプでもメディアの視線は全日本大学メンバーにも選ばれている藤岡、中後に集中。必死の思いで2人に喰らいついた。
今春のキャンプでは内野手の鈴木大地も加えた新人4人で、石垣島の一軍キャンプに招集されて幸先良いスタートを切った。しかし、慣れない環境に焦ったかフォームのバランスを崩して一時はファーム降格の危機に立たされたこともあった。
しかし、紅白戦など実戦のマウンドに上がるようになるとそうした不安は一掃された。強気すぎるとも言える怖いもの知らずの投球で次々と相手打線を封じ込んでいったのだ。
直球のみの3球勝負で連続三振を奪った、その恐るべき制球力。
圧巻だったのは3月20日のオープン戦(対福岡ソフトバンク)だ。
この試合、7回から1イニングのみ登板した益田は、松田宣浩、長谷川勇也を相手に直球のみで真向勝負を挑み、2者連続の三振を奪った。そのいずれも3球勝負だ。
「松田さんにはインコースの真っ直ぐを3球続けました。一発がある相手に胸元に投げることは凄く勇気がいることですが、そこを逃げずにやり切った点ではシーズンに入ってからの自信にもなりましたしあの試合の収穫でした。ひとつの指標にもなりましたね」
そうした強気の投球を可能にするのは、彼の圧倒的な制球力である。