スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
新制度の導入と新興球団の躍進。
~MLBの勢力図はどう変わる?~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2012/04/07 08:01
4月4日、新球場マーリンズ・パークで2012年シーズンの国内開幕戦が行われた。
今季もヤンキース、レッドソックスはWSとは無縁に!?
では、ポストシーズンの勝ち残りは?
ナ・リーグの一発勝負では、ダイヤモンドバックスが残ると予想する。ディヴィジョンシリーズでは、マーリンズとジャイアンツが生き残り、最後はマーリンズが初のペナントを獲得すると予想したい。
一方、ア・リーグのワイルドカード・プレーオフでは、レンジャーズが勝ち残るのではないか。ALDSではエンジェルスとタイガースが生き延び、最後のALCSはエンジェルスが制すると予想したい。
となると、ボストン/ニューヨーク/フィラデルフィアのアムトラック北東回廊は、3年つづけてワールドシリーズの蚊帳の外に置かれることになる。少し前なら、これはいささか考えづらい事態だった。1996年から2009年までのスパンで振り返ってみると、14度のワールドシリーズのうち、ヤンキースもしくはレッドソックスのどちらかが顔を出したシリーズは9度にも達する。いいかえれば、両球団は大リーグの人気とビジネスをリードする牽引車だった。彼らが勝たないと、テレビも視聴率を稼ぐことができなかった。
昨季優勝のカーディナルスに次ぐ、黒馬は現れるか?
が、事態は変わりつつある。2010年の王者ジャイアンツも、2011年の王者カーディナルスも、8月末の時点では先行球団に大きく遅れを取っていた。ところが、結果はご存じのとおり。直線一気の追い込みで、両者はともにワールドシリーズを制した。カーディナルスに至っては、その奮戦ぶりが野球ファンのハートをつかみ、シリーズ第7戦でヤンキースやレッドソックスに劣らぬ高視聴率を叩き出したほどだ。
今季も、そういう黒馬は出現するのだろうか。
する、と私は思う。度胸が足りなくて優勝候補には加えられなかったが、ナ・リーグではナショナルズ、ア・リーグではロイヤルズの存在が無視できないと思う。どちらも万年下位チームだが、ナショナルズでは大器スティーヴン・ストラスバーグの復活と新星ブライス・ハーパーの躍進に期待がかかるし、ロイヤルズでは昨年の新人王投票で上位に食い込んだエリック・ホスマーから眼が離せない。
それと、もうひとりの注目株はレイズの新鋭投手マット・ムーアだ。
去年のポストシーズンで彗星のように現れたムーアは、もしかするとダルビッシュ有の新人王獲得を阻む最有力候補かもしれない。個人賞の行方については、いずれ稿を改めようと思う。