青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
米ツアー初優勝まではあと何試合!?
石川遼に必要な「時間」と「仲間」。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byGetty Images
posted2012/02/01 10:30
カリフォルニア州のトーリーパインズGCで行われたファーマーズ・インシュランス・オープン。通算9アンダーの11位タイで最終日を迎えた石川は、この日1イーグル、2バーディ、4ボギーの「72」のパープレー。13位で大会を終えた
「お客様」のままでは米ツアーでの勝利は難しい。
変化の兆しが訪れたのは'80年の全米オープン、帝王ジャック・ニクラウスと「バルタスロールの死闘」と呼ばれる優勝争いを演じてからだったという。
実力がついてきたからなのか、周囲に溶け込むことができたからなのか。おそらくそのどちらもだろう。世界のトッププレーヤーたちから認められ、受け入れられる。それだけの選手でなければ米ツアーの優勝には届かないとも言える。
「だから優勝するには自分がお客様ではない環境にしていくことですよね。相手の選手やPGAツアーの人にとっても『日本から来た○○』というのではなく、自分たちの仲間だと思ってもらえるようになれば、自然と(優勝という結果に)なると思う。遼くんたちに必要なのも時間じゃないですか。時間だと思いますよ」
青木に続いて'01年ミルウォーキーオープンで米ツアー制覇を成し遂げた丸山茂樹も69試合を要した。'08年AT&Tクラシックで日本人3人目の優勝を飾った今田竜二は108試合と2人に比べて多いが、日本ツアーのトップ選手として海を渡った青木、丸山とは違い、日本でキャリアを積んでいない分、時間がかかったこともあるのだろう。
石川の米ツアー出場試合数はまだ28試合だが……。
そして石川である。'09年のノーザントラストオープンで米ツアーに初めて足を踏み入れて以来、米ツアーの出場試合数はまだ28試合。60試合を基準とするならばまだ半分にもいたっていない。米ツアーのメンバーではない石川には年間12試合の上限があり、昨年も一昨年も10試合ずつ出場してきた。このペースでいくと60試合に達するのにあと3年かかる計算になる。もちろん今季米ツアーのシード権を獲得し、来季からフル参戦するようなことになれば来年中にも60試合には到達できる。
これはそのまま石川の米ツアー初優勝までに必要な時間を示しているように見えるのだがどうだろうか。ただし、石川にはすでに昨年のブリヂストン招待で4位になった経験や2度のプレジデンツカップ出場で培った人間関係がある。子供の頃から米ツアーにあこがれて育っただけに、青木の時代とは違って米ツアーとの心理的な距離も近い。そうした夢と経験をうまく生かすことができれば60試合の道のりはもっと短いものにできるかもしれない。