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センバツ出場校の見所を徹底解説。
2012年、遂に“白河の関越え”なるか!?
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO
posted2012/01/31 10:30
センバツ出場を決めて歓喜する花巻東の選手たち。エースの大谷翔平は「自分たちの代は岩手出身者だけ。岩手のために力を発揮して、日本一というカタチで岩手の方々に届けられれば」と野球による復興支援を誓った
3月21日からスタートする春の風物詩、選抜大会の出場校が発表された。
北海道=北照
東北=光星学院(青森)、聖光学院(福島)、花巻東(岩手)
関東=浦和学院(埼玉)、作新学院(栃木)、健大高崎(群馬)、高崎(群馬)、横浜(神奈川)
東京=関東一
東海=愛工大名電(愛知)、三重(三重)
北信越=敦賀気比(福井)、地球環境(長野)
近畿=智弁学園(奈良)、天理(奈良)、近江(滋賀)、鳥羽(京都)、大阪桐蔭(大阪)、履正社(大阪)
中国=鳥取城北(鳥取)、倉敷商(岡山)、早鞆(山口)
四国=鳴門(徳島)、高知(高知)
九州=神村学園(鹿児島)、九州学院(熊本)、別府青山(大分)、宮崎西(宮崎)
21世紀枠=女満別(北海道)、石巻工(宮城)、洲本(兵庫)
東北の4校選出が目を引く。
通常なら2校選出だが、昨秋の明治神宮大会で東北代表の光星学院が優勝したため明治神宮大会枠が東北に割り当てられ、花巻東が滑り込んだ。また、震災に遭いながら昨秋の宮城大会で準優勝した石巻工が21世紀枠で選出され、一般枠で選出された光星学院、聖光学院を加えた4校が甲子園に勢揃いする。
東日本大震災と阪神淡路大震災からの復興のシンボルとして出場。
関東では当初、高崎が21世紀枠候補に名を連ねていたのが不思議がられていた。関東大会4強なので一般枠での選出は当然だったからだ。これを21世紀枠で選出すれば、主催者サイドは人気のある横浜(関東大会8強)、帝京(東京大会準優勝)を繰り上がりで選出したかったのではないかと、恣意的な選出方法で問題となっただろう。結局、一般枠で高崎を選出したのは正解だった。そして、横浜と帝京で争うことになった関東・東京の残り1枠は、横浜に幸運の女神が微笑むこととなった。
九州も微妙な選考になった。
4校選出なら九州大会の準決勝に進出した4校で問題ないはずだが、8強の宮崎西が選出され、4強の創成館が落選した。創成館(長崎)が準決勝で九州学院に0対9で大敗したのにくらべ、宮崎西は準々決勝でその九州学院に0対2と善戦したのが大きかった。
21世紀枠は東日本大震災からの復興を象徴する石巻工と、95年の阪神淡路大震災で大きな被害に遭いながら復興した兵庫代表という意味合いもあって淡路島の洲本が選出された。
3校目に選出されたのが北海道の女満別。
近畿以西で16校が選出されているので、東西バランスを考えれば東日本勢から選ばれるのが自然。少ない部員と酷寒の地でのボランティア活動などキーワードは様々あるが、MAX145キロを誇る本格派右腕、二階堂誠治の存在が出場の後押しをしたことは想像に難くない。