詳説日本野球研究BACK NUMBER
アマ球界にも蔓延するロースコア現象。
もしかすると大震災の影響かも!?
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/12/29 10:30
2011年夏の甲子園では投高打低の傾向の中、日大三の強力打線が爆発。計6試合で61点を叩き出し、10年ぶりの頂点に立った
2011年、プロ・アマ計311試合を見て思うのは、ロースコア(低得点)の試合が多かったということ。アマチュア野球に限定すると、たとえば、11月下旬に行われた明治神宮大会のスコアは次の通りだ。
◇11/23
鳥取城北 9-4 敦賀気比(タイブレーク。9回までは2対2)
愛工大名電 2-1 関東一
愛知学院大 1-0 佛教大
東北福祉大 4-3 桐蔭横浜大(タイブレーク。9回までは1対1)
九州共立大 2-1 函館大
◇11/24
光星学院 11-8 神村学園(タイブレーク。9回までは6対6)
北照 5-3 鳴門(タイブレーク。9回までは1対1)
明治大 19-0 福山大(7回コールド)
愛知学院大 1-0 亜細亜大
◇11/25
鳥取城北 6-4 智弁学園
愛工大名電 8-1 浦和学院
東北福祉大 1-0 大阪体育大
創価大 3-0 九州共立大
◇11/26
光星学院 7-0 鳥取城北
愛工大名電 6-2 北照
明治大 5-0 東北福祉大
愛知学院大 2-1 創価大(タイブレーク。9回までは0対0)
◇11/27
光星学院 6-5 愛工大名電
明治大 2-0 愛知学院大
ロースコア現象は明治神宮大会だけだったのか?
高校の部、大学の部を合わせた19試合のうち、両チームとも4点以内のロースコアが9試合もあった。とくに大学の部は10試合中、8試合が4点以内のロースコアで、そのうち1点差ゲームは6試合あった。
高校の部にしても、延長戦による時間超過を防ぐため採用されたタイブレーク制(10回以降、1死満塁の場面からゲームを行う)でなければ、1回戦の鳥取城北対敦賀気比、2回戦の北照対鳴門が2対2、1対1で延長戦に突入しているので、ロースコアだった可能性がある。投手の質が高いからロースコアになるというのが理屈だが、1年中、ロースコアの試合が行なわれていたとしたら、その原因は他にもあると考えなければいけない。
この現象は明治神宮大会だけだったのか、それとも他の大会でも見られた現象なのか検証していこう。