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Jリーグが進歩するために学ぶべき、
世界最高のコンディショニング理論。
~【第1回】 バルサも採用するPTP~ 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byJ-Dream

posted2012/01/01 08:01

Jリーグが進歩するために学ぶべき、世界最高のコンディショニング理論。~【第1回】 バルサも採用するPTP~<Number Web> photograph by J-Dream

ヒディンクの右腕として、2002年韓国代表の肉体改造に取り組んだレイモンド・フェルハイエン。今回、サッカーを通じたオランダと日本の国際交流に努める『J-Dream』主催で行なわれたセミナーの講師として来日。来年も今回同様のイントロダクションセミナーと、今回の参加者を対象としたアドバンスセミナーを開催予定だという

バルセロナはなぜ90分間激しくプレーし続けられるのか?

 たとえば2002年W杯の韓国代表。

 ヒディンクは韓国代表の選手が、試合の60分をすぎたあたりからガクっと動きの質が落ちることに気がついた。W杯で驚くような結果を残すには、何としても前半の激しさを90分間保ちたい。そこでヒディンクはオランダからレイモンドを呼び寄せ、肉体改造を依頼。レイモンドは意図的に練習の量を減らし、さらに“特定の条件”を満たす11対11のトレーニングをすることで、選手たちに90分間戦える能力を身につけさせた。ベスト4という結果が、この理論の正しさを証明した。

 逆に立ち上がりの課題に取り組んだのが、ユーロ2008のロシア代表だった。

 ヒディンク就任当初、ロシア代表は90分間の中で波はあまりなかったが、それは前半のペースをセーブしているからだった。レイモンドはヒディンクにこんな冗談を言った。

「これなら3日間サッカーを続けても疲れない」

“特殊”な少人数のトレーニングによって、ロシアの選手たちは立ち上がりから激しくプレーできるようになり、ベスト4という好成績を残した。

 また、ライカールト率いるバルセロナが2006年にCLで優勝したとき、コンディショニングを管理したのはレイモンドだった。現在でもバルセロナの選手たちが、攻守において激しいショートスプリントを90分間続けられるのは、レイモンドのコンディショニング理論が受け継がれているからと言っていい。

 オランダサッカー協会の監督講習では、レイモンドの理論が必修科目になっている。正直、この“コンディショニング業界の革命家”の功績をあげたら切りがない。

ほぼすべてのフィジカルトレーニングにボールを使用する。

 とてもこの理論を一言で表すことなどできないが、あえてエッセンスを抽出するとすれば、「体をサッカーのために最適化する」となるだろうか。レイモンド理論の特徴は、ほぼすべてのフィジカルトレーニングをボールを持って行なうことだ。

 たとえばレイモンドは基本的に、選手たちにランニングや持久走をさせない。「サッカーは持久力のスポーツではない」と考えているからだ。彼にとって、グラウンドを何十周もするような練習はまったく意味がない。

【次ページ】 サッカーに必要なのは素早く筋肉を回復させる能力だ。

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