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欧州王者バルサが開始5分で見せた、
南米王者サントスとの歴然たる差。
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/12/19 11:55
試合終了後、お互いを称え合ったメッシとネイマール。「ひとつだけ言えるのは、勉強になったということ。それ以上はコメントできない……」とガックリとうな垂れてコメントしたネイマール
司令塔ガンソは、体を相手ゴールに向けることも不可能。
グアルディオラが「とても満足している」と振り返った前半は、バルセロナがサントスを圧倒した。
均衡が破られたのは17分。バルセロナは中盤に下りてきたメッシを起点に細かいパスワークで態勢を整え、DFラインの背後を突くシャビのラストパスにメッシが反応。飛び出したGKの鼻先でふわりと浮かせた技ありのループシュートがゴールに吸い込まれた。
さらに24分、今度はシャビを起点に後方でゆったりとボールをつなぎ、9本目のパスをタッチライン際に開いたD・アウベスに展開。球足の速いグラウンダーのクロスに飛び込んだシャビは絶妙のトラップでこれをコントロールし、ボールの落ち際をハーフボレーで叩いた。
劣勢を強いられたサントスは、前線の三枚看板にボールを預けなければ打つ手がない。しかし司令塔のガンソはボールを持つと即座に包囲され、体を相手ゴールに向けることさえままならなかった。ようやく初仕事が回ってきたのは26分。ボルジェスにスルーパスを送るも、パスを受けたボルジェスのシュートは力なく転がり、GKビクトル・バルデスの胸に吸い込まれた。
チアゴとD・アウベスの両翼をまったく抑えられないサントス。
「相手を研究し、弱点があればそこを突く」という指揮官の言葉のとおり、バルセロナはサントスのウィークポイントをえぐり続けた。
中盤で細かくパスをつなぎながら意識を中央に集中させ、出し手と受け手の準備が整えば3バックの両脇のスペースに展開する。サントスはチアゴとD・アウベスの両翼をケアすることができず、後手に回って守勢を強いられた。
そうしたバルセロナの攻撃で存在感を際立たせたのは、トップ下に位置したセスクである。
運動量が多いわけでも、緩急の変化が激しいわけでもない。しかしセスクはボールの流れに応じてまるで足音を消すように静かにポジショニングを修正し、足元でボールを受けてはシンプルにさばき続けた。ゾーンを固めるサントスの両ボランチは、知らぬ間に視界から消えるセスクの動きに対応することができない。しびれを切らせて一歩踏み込めば、両サイドのスペースに展開されて決定機を作られる。
バルセロナのボール支配率が70%を超える展開を誤算と捉えたのか、サントスのラマーリョ監督は31分に新たな策を講じた。右サイドのダニーロに代えてMFエラーノを投入し、システムを4バックにシフト。しかし、一度リズムを掴んだバルセロナがこれに戸惑うことはなく、前半終了間際にはセスクが追加点を奪って勝負の行方を決した。