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30日の東京ダービーで何かが起こる!!
J2のFC東京が首位で迎える正念場。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byYusuke Nakanishi/AFLO SPORT

posted2011/10/26 10:31

30日の東京ダービーで何かが起こる!!J2のFC東京が首位で迎える正念場。<Number Web> photograph by Yusuke Nakanishi/AFLO SPORT

羽生直剛をトップ下に置く4-2-3-1で今季途中から快走を続けているFC東京。チームは、前身の東京ガス時代から東京の地元チームとしての意識が高く、東京ヴェルディとのダービーマッチは、サポーターも異常な盛り上がりを見せる

「全員が同じベクトルを向いている」(大熊)

 羽生や田邉草民が2列目で先発に定着し、ボランチでは高橋秀人が台頭。前線がポジションを入れ替えながら攻め立てるスタイルで他チームを圧倒するようになり、6月12日のロアッソ熊本戦以降は5連勝をマークする。7月17日のFC岐阜戦に4-0と大勝して、開幕から16戦目にしてようやく首位に浮上したのである。その後2連敗を喫したものの、3年半ぶりに呼び戻したルーカスの活躍もあって、再び連勝街道を突っ走っていくのだ。

 年長者の羽生やチームキャプテンの今野が束ね、サブに回った選手たちもチームも支えている。GKの2人を見れば、チームの雰囲気が良く分かる。権田が代表で不在のときに塩田が先発でいいパフォーマンスを見せて先発に定着したが、今は再び権田が正GKの立場にいる。先発に外れたほうが、ベンチで盛り上げ役となっている。

 大熊も今の雰囲気に手ごたえを感じている。

「誰もが試合に出られるわけではないし、我慢、忍耐のもとでチームというものは成り立っている。シオも権田も実力だけでなく、人間的に素晴らしいですよ、本当に。この前の試合(10月16日、ファジアーノ岡山戦)でもシオはベンチで一番大きな声を出していましたから。みんなJ1から落ちて、悔しさを晴らしたいという思いがあるので、気持ちを切らすことなくやってくれている。競争の後に結束ができていると思うんです。クラブもルーカスを補強してくれたりと、いろいろとやってくれた。昇格という共通した目標のもとにクラブもそして選手も、チームスタッフも全員が同じベクトルを向いているように感じているんです」

宿敵ヴェルディとの“東京ダービー”は昇格への正念場。

 昇格がカウントダウンに入ってきたFC東京にとって、正念場となるのが10月5連戦のラストを飾る“東京ダービー”だ。宿敵の東京ヴェルディと10月30日、味の素スタジアムで対戦する。

 数あるダービーのなかでも、サポーター同士が挑発合戦となる“東京ダービー”は異様なまでの熱気を誇ることで有名でもある。

 2001年に“ダービー”として両者がぶつかって以降、リーグ戦では過去13回戦って2点差以上ついた試合はひとつもない。毎回決まって白熱した試合となっている。J1残留のかかる試合、優勝に向けた試合など。何故か大事な局面で両者はぶつかり合う運命にあるのだ。今季、5月4日の一度目の対戦はスコアレスドローに終わっているが、FC東京がホームとなる次の一戦は、昇格時期を左右する重要な位置づけとなる。

 対する東京Vは昇格こそ難しい順位ながら、伝統のパスサッカーに磨きをかけながら調子を上げてきた。昨年も2敗しかしていない柏に一度土をつけているのが東京Vであり、相手が強ければ強いほどパスサッカーの本領を発揮してくるチームである。FC東京にとってダービーに勝って昇格に向かうのと、負けて向かうのでは喜びの度合いも違ってくる。ダービーを制して気持ち良くJ1に上がりたいというのが、正直な心境ではないだろうか。

【次ページ】 J2の戦いでFC東京が得た成果がダービーで見えてくる。

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