自転車ツーキニストのTOKYOルート24BACK NUMBER
あの頃、日本は元気だった。
新橋・虎ノ門・浜松町は昭和の香り。
text by
疋田智Satoshi Hikita
photograph bySatoshi Hikita
posted2010/03/19 06:00
日本自転車会館を発見。「ビルヂング」の風情を満喫。
そういう公益法人の中でも、ちょいと目立つモノがアメリカ大使館の前あたりにあったりする。
「日本自転車会館」……!
あー、なるほど。自普協はじめ、自転車関連団体も、そういえばここにあったのだね。実は自転車関連の団体というものは、監督官庁である経産省(旧通産省)の影響下にある。自転車というものは、戦前戦後、長らく日本の輸出産業の花形だったし、戦後「競輪」という公営ギャンブルを引っさげ、ある意味、戦後の復興を支えてきたものだから、こうして都心の大一等地にビルをかまえることができたというわけなのだろう。
本当にアメリカ大使館正門の真正面。その経緯を知らない人にとっては、何でチャリンコの団体ごときがこんなスゴいとこにビルをかまえてるんだ? と思うのではないか。ま、そりゃそうなんだがね。
しかし、それにしても自転車ビルも古いビルだ。
内部に入ったことだって一度ならずあるんだけど、外観もさることながら、中に入っても古いぞ。というか、モロ昭和の香りが漂っている。階段の手すりも、床も、花崗岩系の石だし、もちろん天井は低い。トイレは細かいタイル張り。何というかアレだ、ドラマの「官僚たちの夏」に出てくる「ビルヂング」の風情。
この昭和感こそが新橋に通じるもので、虎ノ門と新橋は、実はその奥底に同じものが流れているのだろう。
浜松町「東京モノレール」にウルトラマンを見た。
さて、その新橋・虎ノ門エリアを南に行くと、これまたよく似た昭和風情の佇まいを見ることができる。
ちょっと戻って日比谷通り。そこを右折して、そのまま南下する。御成門(おなりもん)、大門(だいもん)と続く、地下鉄・都営浅草線系の町並は、駅名はいざ知らず、自転車で行くと「繋がった一つの街」だ。少なくとも私にはそう見える。
道行きがいちいち昭和感に充ち満ちている。立ち飲み屋は多いし、「○○協会」「組合」とかの灰色のビルも多い。何より、そのビルというビルがみな古くて、70年代もしくは60年代築の「いかにも鉄筋コンクリート!」の灰色の佇まいだ。これが渋い。
大門交差点を左に曲がると、浜松町の駅前に出る。
と、これがまた高度成長丸出しの「東京モノレール」と書かれたロゴが迎えてくれるわけだ。写真を見ていただければ分かるように、企業ロゴもしくは活字フォントってのは、時代を表すよね。東京モノレールのロゴに似ているのは、さしずめ「ウルトラマン」とか「仮面ライダー」そして「東京タワー」だ。ついでに言うなら、京浜急行系、そして、京成電鉄系の色々な企業ロゴも、高度成長を感じることが多いよね。