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トップ3と可夢偉の夢が疾駆する……。
日本GPの裏側で交錯した想いとは? 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2011/10/11 12:00

トップ3と可夢偉の夢が疾駆する……。日本GPの裏側で交錯した想いとは?<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

ザウバーは、日本GPで投入した最新パーツがうまく機能したのだが……。「(韓国GPでは)鈴鹿で投入した空力アップデートによって競争力が発揮できると思う。ポイント争いができると確信している」とレース後にコメントした可夢偉

130Rの激走で記憶に残る、可夢偉のスーパーラップ。

 通常は2人のドライバーにそれぞれレースエンジニアが1人ずついて、それをチーフエンジニアが統括する。しかし、ハンガリーGPとシンガポールGPで発生したレース中の判断ミスは、「ドライバー+レースエンジニア+チーフエンジニア」という3者の間でコミュニケーションが交わされる間に発生したタイムラグによって誘発された可能性が高いと判断。日本GPでは簡略化した体制で臨んでいた。そして、それはいきなり予選Q3での好判断に結びついた。

 7番手からソフトタイヤでスタートし、3回ストップ作戦を敷くという積極策も、タイヤの消耗が激しい鈴鹿ではほとんどのチームが採用しているように、正しい選択だったといえる。3回ストップ作戦を敷くドライバーにとって、最悪のタイミングでセーフティカーが導入されたため、2回ストップに変更してミディアムタイヤでの29周ロングランも決して間違った判断ではなかった。仮にもう1回ピットストップしていたとしても結果は同じであることは、セーフティカー導入時に可夢偉の前後を走っていたフォース・インディアの2台とルーベンス・バリチェロ(ウイリアムズ)が3回ストップを敢行したのに入賞できなかったことでもわかる。

 それでも鈴鹿のファンは今年も可夢偉の走りに大いに興奮したことは事実である。

 特に土曜日の予選は鮮烈だった。

 予選トップ10を賭けて臨んだQ2の2回目のアタックで、エンジニアが想定していたタイムを0.4秒も上回るアタックを披露。中でも圧巻だったのは、130RをDRS(可変リアウイング)を起動させ、2枚のリアウイングを開けたまま全開で駆け抜けた走りだった。130RをDRSを使用したまま通過したのは、レッドブルの2台と可夢偉だけだ。

 母国グランプリで2年連続入賞は果たせなかったが、昨年のヘアピンでのオーバーテイクショーにも負けない、記憶に残るスーパーラップだった。

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