日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
中村憲剛は本田不在を埋められるか?
ザックジャパンの新布陣を検証する。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byNaoya Sanuki
posted2011/09/30 12:00
昨秋の親善試合でアルゼンチンと戦った時の本田と中村。中村は9月の北朝鮮戦とウズベキスタン戦のために代表に招集され、怪我で離脱する前までは、練習でザッケローニ監督の指示によりトップ下で何度もテストを繰り返していたという
本田圭佑と中村憲剛。どこが同じで、何が違う?
確かに中村であれば、本田に近い役割はこなせる。
中村憲剛というプレーヤーは、「ボールを受ける」技術に優れている。本田のように強さを前面に押し出してキープできるタイプではないものの、9月の2連戦に比べればボールは収まってくるのではないだろうか。
きゃしゃな体つきの中村はボールを受けるタイミングで出来るだけ相手を背負わないように相手を外すのがうまく、ボールを受けてから前を向くのがとにかく速いという特徴を持つ。長短のパスを織り交ぜ、ボールを持ってからの周りを使う巧さは本田と共通している。
思い出すのは……南アW杯行きを決めたウズベク戦でのプレー。
「トップ下・中村憲剛」と聞いて真っ先に浮かぶのが2009年6月の南アフリカW杯アジア地区最終予選、アウェーのウズベキスタン戦だ。日本はこの試合に勝って、W杯行きの切符を勝ち取っている。
前半9分、カウンターから中央でボールを受け取った中村が素早く前を向き、右サイドの裏へ飛び出した岡崎慎司へのパスが決勝ゴールを導いた。その前にも遠藤から縦パスを受けてマイナスに下がりながらパスを出し、相手の裏へ出ようとする駒野友一を狙っている。この残像が岡崎にも残っていただろうし、アタッカー陣に向けた中村のメッセージでもあった。中村の的確な判断によってゴールに帰結したわけである。
彼はこの前哨戦となったキリンカップで指揮官の岡田武史から「(リバプールの)ジェラードをイメージしてほしい」と要求されている。チャンスメーカーとなるだけでなく、“パス&ムーブ”で自らもフィニッシャーとなることを、彼は強く意識していた。南アフリカW杯ではサブに置かれながらも、勝負どころでスーパーサブとして起用されている。
ウズベク戦、北朝鮮戦ともに良い勝負をしているタジキスタン。
さて、予選第3戦となるタジキスタン戦である。
タジキスタンは失格処分のシリアに代わっての繰り上げ出場とはいえ、不気味な存在だ。初戦のウズベキスタン戦(ホーム)、第2戦の北朝鮮戦(アウェー)ともに敗れてはいるものの、いずれも0-1というスコアだった。指揮官は「タジキスタンの特徴は当然、把握できているが、日本に対してどうやってくるのかは分からない」と対戦相手への具体的な言及を避けた。