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<センターバックを巡る考察> 田中マルクス闘莉王 「闘莉王が必要になる時」
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/09/26 06:00
その中心には、いつもブラジル生まれの闘将の姿があった。
代表を離れてはいるが、彼の強さ、高さ、溢れる気迫は未だ健在だ。
ザックジャパン、そして祖国でのW杯への率直な思いを聞いた。
ロングボールが蹴り込まれる。跳ね返す。ハイクロスが押し寄せる。跳ね返す。
高さと強さだけで対処しているわけではない。鋭い読みからなる的確なポジショニングと、相手を自在にさせないボディーコントロールがあってこその守備力が、田中マルクス闘莉王の持ち味である。
ジャパンブルーのユニホームを最後に着た南アフリカでのパラグアイ戦から、1年3カ月の月日が流れた。岡田武史からアルベルト・ザッケローニへと日本代表の指揮官が代わり、それに伴い、メンバー構成も大きく変わった。若返りも図られている。
とはいえ今後もずっと、彼が代表に呼ばれることはないのだろうか。日本がもうワンランク、ツーランク上にいこうとするとき、必要な人材なのではないか。
そう考えると同時に確認しておきたいことがあった。彼の心にあった激しい炎は今も健在なのか。2014年に祖国・ブラジルで行なわれるワールドカップへの思いは今なお生き続けているのか。夏の終わりのある日、彼の元を訪ねた。
――ザック・ジャパンを見ていて、どのように感じている?
「すごくうまくいっていますよね。11人の守備の連動性がいい。ベースは岡田さんのときのワールドカップでしょう。ザッケローニ監督になってからいい形で進んでいるのは、あの時のベースがあったからで、それは誰が見てもわかると思う。それにプラスアルファして、今は中盤でいいプレッシャーが掛かったり、いい終わり方をしたりしている。だから戦いやすい。もう、アジアのレベルだったら、日本はひとつ上のランクで戦ってるんじゃないかな。予選も問題なくいくだろうね。全勝でいくんじゃないかな。心配なんか全くしてないよ。それぐらいの経験と自信を皆が持って戦っているというのが、今までの代表との違いだと思います」