プロ野球亭日乗BACK NUMBER
日本のWBC3連覇は幻に終わるのか!?
参加を巡る日米対立の“お家事情”。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2011/09/18 08:01
連覇を達成し、国民を大いに沸かせた2009年の第2回WBC。ファンの多くは3連覇に挑むサムライジャパンの雄姿を見たいと望んでいるのだが……
主導権の曖昧さを抜きにしてもWBCで得るものは大きい。
「この大会がいったいどういう大会なのかが良く分からない」
こう語って出場辞退を決めたのは、第1回大会のときのオークランド・アスレチックス、松井秀喜外野手(当時はニューヨーク・ヤンキース所属)だった。
米国ではWBCIを形成するMLB機構と選手会、日本では読売新聞社や代理店などが主導した大会は、確かに松井が予見したように、曖昧な中でのスタートだった。
ただ、そういう曖昧さを抜きにしても、2度のWBCで日本球界が得たもの(同時に失ったものもあったかもしれないが……)は大きかったはずだ。
'06年の第1回大会のキューバとの決勝戦の視聴率は40%を上回り、'09年の第2回大会の韓国との決勝戦も35%越えをマークしている。五輪の正式競技から外れた現在、国際大会という大きなインパクトを持ち、世界の中での日本野球の位置を計る唯一の場は、やはりこのWBCしかないというのも事実なのだ。
WBC以外にも世界のプロ選手が結集する国際大会を。
参加か不参加か。実質的に何か得られるものがあるならば参加すればいいし、参加の条件が整わないのならば不参加でも、それはどちらでもいい。
ただ、お金の問題だけを考えれば、日本の企業にはWBCのスポンサーを降りて頂いた方がいい。その半額でもいいから、日本球界……具体的にはNPBと選手会となるのだろうが……をバックアップしてもらった方がいい。
そうして、WBC大会の縛りがないところで、メジャーリーガーたちも含めて毎年1回でも日本の野球人が結集して、例えば日韓定期戦とか、国際大会を開催する。
NPBは来年3月11日、東日本大震災復興支援の日本代表戦の開催を決めた。
それが第一歩になれば、と期待する。