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全然打てなくても守りきって勝つ!
落合流、攻撃的投手陣の証明。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/09/20 11:40
勝っても負けても僅差の試合が続くなかで、「1点余分にあればそれで十分」「やるべきことをやれるかどうか。無理なことをやろうとしても空回りするだけ」と軸をぶらさず淡々と戦い続けている落合博満監督
今季の中日は、ウイークポイントとストロングポイントがはっきりと分かれている。
まず、ウイークポイントから挙げれば、それはもちろん攻撃面になる。
完封負けは、チームワーストの24試合に迫る20試合。統一球の影響があるとはいえ、リーグ最下位のチーム打率2割2分7厘(9月19日現在)はあまりに低すぎる。
特にクリーンナップは深刻だ。
昨季の優勝に大きく貢献した森野将彦、和田一浩、ブランコは打率2割台前半と低迷。和田に至っては、8年ぶりに二軍に落とされるなど深刻な打撃不振に陥っている。
チームにおける極端なまでの投打の差。
一方で、ストロングポイントである投手力は昨季同様、今季も健在だ。チーム防御率2.48と332失点は、いずれもリーグトップの数字である。
8月までは3度の負け越し月があるなど、なかなか勝ちきれなかった中日ではあるが、9月だけを見ると9勝4敗2分け(9月19日現在)と5つも貯金を増やしている。その要因は、中継ぎ陣もさることながら、先発投手が安定してきたからだ。
勝利数、防御率ともにリーグトップである吉見一起をはじめ、左のエース・チェン、防御率1点台のソト、9連敗を喫したネルソンは現在2連勝と先発の役割を果たし始めている。さらに、山内壮馬が8月から先発として機能し、故障などにより長らく二軍で調整していた山井大介も計算できるようになった。
今季もついに見出したか、「優勝を狙えるローテーション」!?
シーズン終盤で先発投手を計算できるのは大きい。昨季がまさにそうだった。
吉見、チェンに加え、ネルソン、山本昌、山井、中田賢一でローテーションを固定することができたことで優位な試合運びができるようになり、9月は15勝6敗1分け。逆転優勝の大きな転機となった。
今季も、言ってしまえば「優勝を狙えるローテーション」を組めるようになったからか、以前にも増して落合博満監督の言葉にも泰然とした雰囲気が感じられるようになった。