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勇退した名将・木内幸男の後継者は?
習志野vs.明徳義塾、勝負の裏側。 

text by

中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2011/08/12 08:00

勇退した名将・木内幸男の後継者は?習志野vs.明徳義塾、勝負の裏側。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

明徳義塾の馬淵史郎監督(左/55歳)と習志野の小林徹監督(48歳)。馬淵監督は1990年から明徳義塾の監督を続けており、小林監督は2008年に習志野の監督になる前は、市立船橋で監督を務めていた

木内が自らの後継者と指名していた明徳義塾・馬淵監督。

 実はもう一人、木内が常々、自分の後継者だと話していた監督がいる。それは高知県代表・明徳義塾の監督、馬淵史郎だ。

「新聞を通じて、後継者に指名されたことがあるんよ。でも、木内さんとは、どっか、合うところあったわな」

 馬淵は小林ほど頻繁に交流があったわけではないが、1998年、国体で宿舎が一緒になったとき、2人で夜遅くまで野球談義をしたという。

「打順の決め方とか、参考になったな。足が速いから1番とか、長打力があるやつは4番というのではなく、もっと内面を見極めて決めなければいかんのだと。足はたいして速くなくとも盗塁の場面になったら思い切りのいいやつがいる。長打力はなくてもチャンスで不思議と勝負強さを発揮するやつがいる。木内さんは、そういう見方をするんよ。あ、あとA型の四番はダメだって言っとったな(笑)」

「全員野球」vs.「カリスマ性」。後継者対決の行方は?

 馬淵は木内のように選手を取っ替え引っ替えするわけではないが、自分の野球理論に選手を心酔させ、選手を意のままに繰るという点では共通している。

 明徳の選手は自分のことをよく「馬淵教の信者」だと言い、常総学院の選手も「木内教の信者」だという。

 馬淵には、木内同様、「この監督についていけば勝てる」と思わせるだけの知識とカリスマ性がある。木内もそのあたりをかっていたのだと思う。

 明徳の選手の動き、特にエンドランのサインが出たときなどの動きを見ていると、馬淵の教えが隅々まで浸透しているのだなということがよくわかる。

 実は2回戦で、その習志野と明徳義塾がぶつかる。2回戦屈指の好カードといっていいだろう。

 木内の後継者対決──。

 そんな見方もおもしろい。

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