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ライコネン本命の理由。 

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西山平夫

西山平夫Hirao Nishiyama

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photograph byMamoru Atsuta(CHRONO GRAPHICS)

posted2007/09/25 00:00

ライコネン本命の理由。<Number Web> photograph by Mamoru Atsuta(CHRONO GRAPHICS)

 早いものであと1週間で日本グランプリ開催、30年ぶりに富士スピードウェイがF1のエクゾーストノートに満たされることになる。そしてこの日本グランプリこそがF1終盤3戦、いわゆるフライアウェイ・ファイナルのカウントダウン開始に当り、チャンピオン争いも、より具体的なイメージを結ぼうとしている。

 9月20日(木曜日)には、スペインのヘレスで行われていた今季最後の合同テストが打ち上げられ、最終日のベストタイムはマクラーレン(デ・ラ・ロサ)、フェラーリ(バドエル)、レッドブル(ウイリアムズ)、BMW(ハイドフェルド)、ルノー(ピケ)……の順。テストは単純なタイム比較はできないといわれるが、それでも上位の顔ぶれはレッドブルを除けばトップチームの実力順に並んでいるのが興味深い。さらにいえば、マクラーレンとフェラーリだけが1分19秒台を記録し、それ以下は20秒台。ホンダがかろうじて1分20秒台に入って6位。そこから1秒以上離れて7位はトヨタ。不思議なことにスーパーアグリ(ロシター)が3日目だけ走行しており、それでもトヨタとそれほど遜色ないタイムを出していたのが目を引いた。

 さて、日本グランプリのウイナーは誰になるのだろうか。1週間前のベルギーGP上位3人記者会見でアロンソは「予想は非常に難しいし、毎戦サプライズがあるからなんともいえないが、残り3戦のうち日本は我々に有利で、中国とブラジルは我々に有利じゃない」と言い、勝ったライコネンも「日本は我々にとってベストプレイスじゃないと聞いている」と、いみじくも二人の意見は富士はマクラーレン有利で一致。しかし、それはごく僅差で、しかもマクラーレン得意の縁石乗り越えがないこと、路面の平坦性が高いことからむしろフェラーリ有利ではないか? というのがF1をよく知り、かつ富士スピードウェイに詳しい関係者の言。ともあれドライバーズ選手権3位のライコネンは首位ハミルトンに13点、アロンソに11点差をつけられているのだから、終盤3連勝してマクラーレン勢の取りこぼしを待つしか手がない。

 いっぽうハミルトンにせよアロンソにせよ、ことチャンピオン争いに関してはライコネンが勝つこと自体にはなんの問題もない。よしんば1位ライコネン+2位マッサの形で残り3戦突っ走ろうと、マクラーレンの二人が着実に3、4位でフィニッシュしていれば、自然とライコネンはチャンピオン争いから脱落してしまう。だから、ことチャンピオン争いに関してはライコネンにほとんど目はなく、焦点となるのはハミルトンとアロンソのどちらが先にチェッカーをくぐるかだけなのだ。ベルギーの後、アロンソは「注意すべきはDNF(フィニッシュせず)にならないことであって、そうなった瞬間、チャンピオンとはバイバイさ」と本音を出したが、ハミルトンとの攻防はますます激しいものになって来るだろう。ベルギーではスタートのオールージュ手前でまさに一触即発の態勢になったものだ。

 失うものがないライコネンが富士の優勝候補の筆頭。対抗は案外チームメイトのマッサなのかもしれない。優勝争いとチャンピオン争い、富士では二つの頂上対決が見られる。

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