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<元祖・山ガールの「山」論> KIKI 「頑張らないと楽しい」
text by
松山梢Kozue Matsuyama
photograph byTamon Matsuzono
posted2011/06/30 06:00
「イマドキの山ガールとは全く違うかもしれませんね」
山と出会ったことで、普段の生活や生き方にも変化がありました。山は決して快適なところばかりじゃなく、不便な部分もたくさんあります。でも自分の置かれた状況の中で工夫するしかないので、必要以上に悩んだりすることもなく、あきらめがよくなるんです。都会にいると、どうしても自分の力以上のことをしようと頑張ったり、無理をしてしまいがち。もっとシンプルに、欲張らずに生きていいということに気付いてからは、すごく気持ちが楽になりました。
元々自分を飾り立てるタイプではありませんが、山を知ったことでより等身大でいたいという思いも強くなりましたね。それはファッションにも言えること。私のこだわりはなるべく山になじんだ、目立たない服装をすることなんです。1点だけピンクや黄色など明るい色を着るのはいいけれど、雑誌からそのまま出てきたようなカラフルな組み合わせは人の視界の邪魔になってしまうと思うんです。それはもちろん“山ブーム”に乗ってメディアが創り上げてきたスタイルだけど、私は山に愛情を持つ人間のひとりとして、なるべくナチュラルに、頑張らない楽しみ方を伝えていきたい。そういう意味では、イマドキの山ガールとは全く違うかもしれませんね。
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◆愛用の山グッズ
腕時計 「スント」のベクターは5年前から愛用しています。よく使う機能は時計と高度計。明らかに頑丈そうだからバッグにつけても安心だし、自分で電池が付け替えられるのも便利です。 |
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マグカップ 北欧で作られている伝統的な「ククサ」を私のバージョンで作ってもらいました。山の上は寒いので、コーヒーや紅茶にウイスキーを少したらして飲むと、香りもよく体が温まります。 |
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ナイフ 「オピネル」のナイフは安くて見た目もかわいく、山で料理をするときなどに使っています。土を払う刷毛が付いている珍しいきのこ狩り用(写真)は、見せびらかしに最適です(笑)。 |
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スタッフバッグ 荷物を整理するのに便利な「OR」のスタッフサックは、防水性に優れているから、濡れているもの、濡らしたくないものを入れるのに便利。使わないときはコンパクトに畳めます。 |
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本 山には紀行文を持って行き、その時代や土地に思いを馳せるのが好きです。最近読んだのは、アラスカに渡ったフランク安田の生涯を描いた『アラスカ物語』(新田次郎/新潮文庫)。 |
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◆初心者にオススメの山 | |
上高地 人の多い上高地から1時間半ほどのところに、人気の山小屋「徳澤園」があります。元々牧場だった広い芝生のキャンプ場もあるので、テント泊も可能。テントは小屋でも借りられます。 |
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北八ヶ岳 登山口から2~3時間で着く「黒百合ヒュッテ」がのんびりできてオススメ。他にも特徴的な山小屋が多く、ピラタスロープウェイの山頂駅から15~20分で着く「縞枯山荘」も素敵です。 |