北京をつかめBACK NUMBER
女子体操界に出現した新星たち。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
posted2007/06/20 00:00
卓球の石川佳純、ゴルフの石川遼など、十代前半の選手が話題に上ることが多い。体操にもその波が来たのか。そう思わせたのが、体操の女子である。
6月9日と10日、千葉ポートマリーナでNHK杯が行なわれた。9月の世界選手権(ドイツ)の代表選考会を兼ねた大会である。
今年の世界選手権には、北京五輪の出場権がかかっている。アテネ五輪の劇的な復活以後、中国に後れを取る男子の目標は、出場権はむろんだが、それ以上に、どこまで中国に迫れるかにある。
一方の女子にとっては、出場権獲得こそが目標である。2000年のシドニー五輪に続き、アテネでも団体は出場できなかったのだ。個人総合には2名が出場したものの、やはり、チームで争う団体戦の価値は重い。
北京五輪出場獲得の任を担うのは誰か。
注目が集まる中、NHK杯を制したのは、14歳の鶴見虹子であった。2位に入った山岸舞、5位の小沢茂々子の2人の同級生とあわせ、中学3年生トリオが、日本代表に選出された。
体操女子は、もともと、低年齢で活躍するケースは珍しくはない。とはいえ、3人の中学生の代表入りは、日本女子に新しい風が吹いてきたといってよいだろう。
とくに、ワンツーを決めた二人には、若さもさることながら、実力面から見ても可能性を感じさせられる。
鶴見は、昨年の全日本選手権に14歳で優勝した実力者。これは中学生としては10年ぶりだったが、鶴見のよさは、なんといってもA得点の高さにある。
体操は、技の難度などで決まるA得点、出来のよしあしによるB得点の合計で順位がつけられる。日本女子の弱みは、A得点の低さにあり、協会強化部も「A得点の向上」を課題に掲げてきた。
鶴見のA得点は、6種目平均で6点前後。これは世界の上位に位置するものである。日本の課題を克服するレベルにあるのだ。