北京をつかめBACK NUMBER
女子体操界に出現した新星たち。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
posted2007/06/20 00:00
2位に入った山岸は、鶴見と対照的な持ち味の選手だ。A得点においては、鶴見にやや劣る。しかし、ミスをあまりしない完成度の高さと、周囲も認める勝負度胸は、五輪枠がかかる舞台では、大きな武器になるはずだ。
なによりも、体操への執念がすさまじい。こんなエピソードがある。以前、両手甲を骨折し入院をよぎなくされたが、腕に鉄アレイを縛ってトレーニングをしたという。
五輪出場権は、世界選手権で12位までに与えられる。昨年の世界選手権団体総合で日本女子12位。ただし、13位だった北朝鮮、14位のカナダ、15位のオランダあたりまで実力は横一線。現に、ドーハ・アジア大会では中国、北朝鮮に次ぐ3位に終わっている。
それだけに、新たな戦力への期待は高くならざるをえない。
大会後、「バスにも子ども料金で乗れます」と138cmの鶴見が言えば、139cmの山岸は、「学校の整列ではいつも一番前です」。
大会で、こんな言葉で笑わせた、とても小柄な二人にとって初めての世界選手権。
「北京五輪の枠を取らないといけないと思っています」(鶴見)
「大きな大会ほど緊張しないですから」(山岸)
自分たちのやるべきことを自覚する中学生たちは、日本の救世主となれるか。