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奥大介が語るW杯グループ詳細解説。
優勝候補はブラジルで大穴はガーナ!!
text by
奥大介(二宮寿朗)Daisuke Oku(Toshio Ninomiya)
photograph byREUTERS/AFLO
posted2009/12/08 12:05
優勝予想はズバリ、ブラジルだ。
ポルトガル、コートジボワール、北朝鮮と同じ「死のG組」に入ったことが、逆にブラジルにとってはプラスに働くということ。グループリーグを60~80%ぐらいの力で勝ち上がっていくのがいつものブラジルなのだが、このグループなら「本気のブラジル」を初戦の北朝鮮戦から見ることができるはずだ。
ブラジルを推す最大の理由は、監督のドゥンガにある。
彼が監督になってからのブラジルは「全員サッカー」を志向し、個人プレーに走らなくなった。あのカカですら、周りを使うことを意識してプレーしているのだから、ドゥンガがチームをよくまとめていることが分かる。南米予選も隙を見せない戦い方で、順当にトップで通過した。
ドゥンガとはジュビロ磐田で一緒にプレーしていた、元チームメイトでもある。そのときから「個人じゃサッカーはできないんだ」と彼は口酸っぱく言っていた。ドリブルで仕掛けていくと「マラドーナじゃないんだから」と叱られたこともある。プレスに遅れただけでも怒鳴り声を上げられた。
そういうサッカー哲学を、今のセレソンに対しても徹底的に植えつけているのだと思う。チームづくりに妥協のないドゥンガなら、本大会で強さにもっと磨きをかけてくるはず。かつてほどのスター集団ではないものの、現実路線の今のブラジルに死角らしい死角が見当たらない。
前回優勝のイタリアはベテラン揃いで不気味な存在。
ブラジルとは対照的に楽なグループに入った印象を持つのが、前回優勝のイタリアだ。パラグアイ、スロバキア、ニュージーランドとすべての国が世界ランク30位以下。36歳のカンナバーロをはじめベテランの多いイタリアにとって、ある程度ゆとりを持って戦えるのは大きい。世代交代が進んでいないとはいえ、メンバーが4年前とあまり変わっていないことはマイナスの要素ばかりではない。勝ち方を知っているメンバーが多いだけに、決勝トーナメントに余力を残して入っていけば、前回優勝の経験値が必ず活きるときがくる。ブラジルの対抗馬として、このイタリアが不気味な存在になってくるような気がしてならない。
ダークホースはアルゼンチンだろうか。マラドーナの手腕に疑問符がつけられているが、これ以上最悪の状況が続くとも思えない。経験豊かなベロンがチームをまとめようとしているし、それにバロンドールを受賞したメッシがもっとチームにフィットしてくれば、やはり恐ろしい存在になってくる。
アルゼンチンはパス中心の戦術に変えるべきだが……。
メッシを活かすためには、チームがバルセロナのようにもっと早いタイミングでメッシにパスを出して連動していくべきである。パスの出し手がまずドリブルを選択することによって、ここでパスをもらいたいというメッシの動きと噛み合っていない。メッシが描く攻撃のイメージを、チーム全体で共有していくことが浮上のカギとなるだろう。
シードを外れたポルトガルやフランスと同じ組にはならなかったため、グループリーグで調子を上げていけば、本来の力を発揮していく可能性は十分にある。あとはマラドーナのひらめき采配が吉と出るか、凶と出るかだろう。