青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
石川遼のパットの問題点とは?
不振の先にある、大変身への予感。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byDaiju Kitamura/AFLO SPORT
posted2011/06/08 10:30
「(パッティングの)ストロークがまだ安定していないので、こういう時もあるんだなという感じでやっていました」と大会後にコメントを残した石川
石川のティーショットまでが狂った原因とは?
「全米オープンや全英オープンで多用したいというのがあって、そろそろ試合で使うことに慣れていこうと。最近はドライバーでイメージが出にくいホールではティーショットを刻むという判断もすぐにできるようになってきた。ちょっと前まではフェアウエーからの150ヤードよりもラフからの100ヤードの方が近くに寄せられるという気持ちがあったけど、いろんな大会に出てラフからは絶対に寄らないホールをたくさん経験してきた。ドライバーよりも2打目以降の距離は残るけど、ミドルアイアンやロングアイアンの精度も上がってきた。その2つのことが重なって自分の価値観が変わってきた」
何はなくともまずドライバーだった石川の方針転換には副作用も生じた。
日本ツアー選手権ではティーショットでのクラブがコロコロと変わることで、スイングのリズムやタイミングが乱れ、そのズレ幅が最大になったところでOBが出て大叩きにつながった。「ドライバー以外のクラブで打った後の、ドライバーでのティーショットは注意しないといけない部分だった」と反省したのもあとの祭りだった。
0番アイアンを使ったマネジメントは石川に何をもたらすのか?
加えて、ドライバー中心のゴルフからの脱却はパットの不振以上に大きな問題にもなり得る。
なぜなら、これまでの石川は、日本オープンのように他の選手が「刻み」を最優先させるようなコースでも積極果敢にドライバーで攻めてアドバンテージを得てきた。0番アイアンを使ったマネジメントはそうした規格外の強さをスポイルしてしまう可能性があるからだ。
もちろん石川が刻みに徹する堅実ゴルファーになるとは思わないが、ある意味では石川遼という選手の存在意義に関わる、とまで言っては大袈裟だろうか。
パットにショットにマネジメント、すべての変化が悪い方にはまった2週連続の予選落ち。
ただし、これまでも石川は大胆な変化を進化に結びつけてきた。'09年には春の米遠征で誰もが首をかしげるスイング改造に着手し、将来を危ぶむ声までわき上がるほどだったが、シーズンが終わってみれば国内ツアー最年少賞金王になっていた。
変わり身のよさも持ち味だけに、メジャーでの活躍に期待も残る。ともかく、2週連続予選落ちの屈辱からどう立ち直っていくか。そのさまをしばらく楽しんでいきたい。