青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
石川遼のパットの問題点とは?
不振の先にある、大変身への予感。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byDaiju Kitamura/AFLO SPORT
posted2011/06/08 10:30
「(パッティングの)ストロークがまだ安定していないので、こういう時もあるんだなという感じでやっていました」と大会後にコメントを残した石川
石川遼が約3年ぶりに国内ツアーで2週連続予選落ちを喫した。
しかもその内容はあまりに惨憺たるもので、今後に控える全米オープンや全英オープンといった海外メジャーへの期待感もすっかりしぼみかねないほどだった。
ダイヤモンドカップで国内約1年ぶりの予選落ちを味わうと、翌週の日本ツアー選手権シティ杯宍戸では初日に83とプロ転向後自己ワーストの大乱調。2日目も巻き返すどころか、再び77と大きく崩れて通算18オーバー、119位で土日を待たずに姿を消した。
今季はどの試合でもトップ10前後をキープし、ダイヤモンドカップ前週の浜松オープンでは敗れたとはいえプレーオフも争った。それが一体どうしてしまったのだろうか。
「こんなに短い距離を外すなんて自分でもビックリした。1mや1.5mを外すのは気持ちよりも技術の問題。こんなはずじゃない、と思えば自分の姿を見失ってしまう。これが今の実力と受け止めて練習したい」
原因の1つは石川も自覚するようにパッティングにある。
ワトソンやウッズに絶賛された石川のパットだが……。
浜松オープンまでの試合でも課題となっていたが、予選落ちした2試合は目を覆いたくなるほどひどかった。
日本ツアー選手権2日目には13番で4パットし、14番ではわずか60cmすら外した。パターを手にがっくりとうなだれ、動けずにいる姿は痛々しいほどだった。
昨年の全米オープンではトム・ワトソンから「どうしたら彼のようにストロークできるか見せてもらったよ」と称賛され、タイガー・ウッズからも「遼のストロークがすごく気に入ってる。本当に“pure stroke”なんだ」と褒めちぎられたのが石川のパットだった。ドライバー最優先で練習を重ねてきただけに、パターは練習量は少なく、まだまだ荒削り。つまりこれまでは感性、センスといった要素が石川のパットを支えてきた。ウッズが“pure”というのも、原石の魅力を感じていたのだと思えば理解できる。
ただし、感性に頼るままでは伸びシロがないし、ムラも出る。感性に技術を上積みして磨きをかけようとしているのが現状なのだ。