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オーウェンに「7番」を与えた
ファーガソンの深慮遠謀。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byMatthew Peters/Manchester United via Getty Images/AFLO

posted2009/07/28 11:30

オーウェンに「7番」を与えたファーガソンの深慮遠謀。<Number Web> photograph by Matthew Peters/Manchester United via Getty Images/AFLO

2001年度バロンドール受賞者にしてイングランド代表としては現役最高得点(歴代では4位)を誇るオーウェン。ルーニーとは大の仲良しでもある

 今月初旬、マイケル・オーウェンのマンチェスターU入りが決まった。背番号は「7」。マンUの7番と言えば、1960年代の昔には不世出の名ドリブラー、ジョージ・ベストの背中で躍り、90年代以降のプレミアシップ時代にも、エリック・カントナ、デイビッド・ベッカム、クリスティアーノ・ロナウドへと受け継がれてきた栄光の背番号である。

 8000万ポンド(約120億円)という破格の移籍金でレアル・マドリーへと去った24歳のロナウドは、2008年のFIFA(国際サッカー連盟)年間最優秀選手賞に輝いた「現役世界一」。片や、タダで手に入れた(ニューカッスルとの契約満了で移籍金なし)今年30歳になるオーウェンは、膝、足首、ハムストリングと傷だらけの「元花形」。一見すると理解に苦しむ今夏の『7番交代劇』には、ファーガソンによる「一大ギャンブル」どころか、ロナウドを失ったマンUの「降伏宣言」という手厳しい意見まで聞かれる。

 だが、当のマンU陣営は、悲観的な世間の声を余所にほくそ笑んでいるのではないだろうか? たしかにオーウェンの獲得は、当人が「突然サー・アレックス(・ファーガソン監督)から連絡をもらって驚いた」と語る意外な補強だった。カリム・ベンゼマ(レアル入り)、ダビド・ビジャ(スペイン内での移籍を希望)といった大物FWの獲得に失敗したことも事実だ。しかし、6月末という接触のタイミングの早さからは、ファーガソンが、かねてからオーウェンを補強対象と意識していたことが覗える。巷では「苦し紛れ」とも言われるベテランFWの獲得も、大ベテラン監督にすれば「計算尽」の補強ということだ。

「7番」の栄光を引き継いだオーウェンの役割とは。

 ここで重要なことは、7番を継承したオーウェンが、ロナウドの後任として迎え入れられたわけではないという点である。背番号の一件は、次のように考えれば理解できる。「7」が欠番のままではロナウドの穴ばかりが指摘され続ける。そこでファーガソンは、“ネームバリュー”のあるオーウェンを担い手に指名することで、多分にイメージ的な問題を早々に解決したのだと。そもそも、『RONALDO 7』も監督の意向によるものだった(本人はスポルティング時代と同じ28番を希望)。

 実際にオーウェンが務めるべき役割は、ディミタル・ベルバトフと共に前線のポジションを争っていた、カルロス・テベス(マンC入り)の代役だ。過去2シーズンでロナウドが稼いだ得点数は「68」。チーム最大の得点源を失った影響を最小限に抑えるためには、アウトサイドでの起用が増えていたウェイン・ルーニー(過去2年間で38得点)を本来のセンターFW(セカンドストライカー)に戻したとしても、パートナーによる得点面での貢献が必要不可欠となる。

【次ページ】 ルーニーとのコンビで代表返り咲きを画策!?

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