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「熟成」のマンUと「進化」のバルサ。
2年前とは似て非なるCL決勝の風景。 

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工藤拓

工藤拓Taku Kudo

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2011/05/28 08:00

「熟成」のマンUと「進化」のバルサ。2年前とは似て非なるCL決勝の風景。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

「(マンUは)レアル・マドリーのように試合を台無しにしないはずだ。ユナイテッドは自分らしい試合を目指すはずだし、だからこそ素晴らしい決勝戦になると信じている」とマンUとの決勝戦を語ったメッシ。果たしてマンUはどんな戦術で臨むのか?

数多の栄光に浴してきたバルサは勝利に飢えているか?

 余計なプレッシャーを感じる必要がなく、モチベーションにも事欠かない挑戦者は強い。2年前の自分達がそうだっただけに、グアルディオラはその挑戦者の脅威をよく理解していた。さらに指揮官は23日の会見にて、その点についてより具体的に言及している。

「決勝では戦術、感情、対戦相手の分析、そして勝利への願望が勝敗を分ける。2009年の決勝ではビクトル・バルデスのセーブがC・ロナウドのシュートを止め、ピケがパク・チソンより僅かに早くこぼれ球に追いついたことで開始早々の失点を逃れることができた。このようなプレーを生みだす勝利への願望を、選手全員の頭に叩きこむことができるかどうか。決勝の鍵はそこにある」

 2年前の決勝でグアルディオラは、キックオフ直前のロッカールームで映画『グラディエーター』と選手達のプレーシーンを組み合わせた7分間の映像を流すことで、選手達のメンタルを最高の状態に高めることに成功した。

 この2年間で多くの成功を手にしてきた選手達に対し、再びグアルディオラは勝利への願望を抱かせることができるかどうか。バルサ優勝の第一の鍵は、この1点にかかっていると言って良いだろう。

2年前に味わったマンUの厳しい圧力を指揮官は忘れていない。

 では、ピッチ上の鍵はどこにあるのか。グアルディオラはそのヒントを2年前の決勝に求めている。

「2年前、マンUは前半を通して我々を上回った。我々は1回しかチャンスを作ることができず、ポゼッションも僅か2回、それもさほど長くない時間しか保つことができなかった」

 この試合でバルサは、試合開始と共に高い位置から圧力をかけてきたマンUのプレスに戸惑い、最終ラインからのビルドアップがままならず中盤に良いパスを入れることができなかった。10分にイニエスタ→エトーとつないだファーストチャンスを決めて先制できたものの、先述のグアルディオラのコメントにもあったように、その前にはC・ロナウドに決定機を作られている。あれを決められていたら試合の展開は全く異なるものになっていたかもしれないのだ。

【次ページ】 前後半の立ち上がり。マンUのハイプレスをしのげるか。

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