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<そりと会話しながら> 原田窓香 「リュージュにかける青春」 ~特集:バンクーバーに挑む~ 

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折山淑美

折山淑美Toshimi Oriyama

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photograph bySatoko Imazu

posted2010/01/31 08:00

<そりと会話しながら> 原田窓香 「リュージュにかける青春」 ~特集:バンクーバーに挑む~<Number Web> photograph by Satoko Imazu

強豪選手も手こずる「難しいコースだからこそ勝負できる」。

 そんな状況で臨んだ五輪シーズン、W杯の序盤は第3戦の23位が最高と厳しいスタートを切った。だが、その原因はそりにある。新調したそりは重心が低くて操作はしやすいが、まだ細部の修正が不完全だからだ。長野へ戻った12月には、昨季まで使っていたそりの使用も視野に入れて調整に力を入れた。

「今までのコースはスピード型とテクニカル型のどちらかだったけど、バンクーバーは超高速コースでありながらテクニカルでもある特殊なコースなんです。女子の場合はスタート直後がスローだから、いかに体の力を抜いて滑るかが大事ですね。そして後半は、ストンと落ちる大きなカーブを抜けてから時速140km台になる難しい区間で、ミスしないで理想のラインを通すことができるかどうか。でも、最近は難しいコースだからこそ勝負できると思えるようになりました。うまい選手でも失敗する可能性が出てきますからね」

 各国最大4人までが出場できるW杯でひと桁の順位が見えたということは、ドイツなど強豪国の出場枠が最大3となる五輪では、順位が上がる可能性が大きくなる。

リュージュを広く知ってもらうために夢の表彰台へ。

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「これまで恵まれた環境でやらせてもらった経験を他の選手に伝えて、日本をレベルアップさせる役割はあると思うけど、昔から思っているのは、リュージュがもっと広く親しまれて一般の人も遊びでできる競技になればということなんです。一番注目される五輪で結果を出して、みんなにこの競技を知ってもらう。その意味でも、日本人が表彰台に立つという大きな夢は、強く意識しているんです」

 試合前は、ものすごく緊張するという。だが、心臓がバクバクして「もう滑れない!」と思った瞬間、その緊張はどこかへ飛び去り、リラックスしてスタートできる。

「緊張しすぎて疲れちゃうんでしょうね」と原田は明るく笑う。バンクーバーでもそれができれば、夢のメダル獲得にまた一歩、近づくはずだ。

原田窓香(はらだまどか)

1985年12月15日、ブラジル生まれ。父の仕事の関係で3歳までブラジル第4の都市ベロオリゾンテで育つ。小学5年生のときにリュージュを始める。'05年、長野日大高から信州大学に進学。初の五輪代表となった'06年トリノでは13位に入る。昨年12月の全日本選手権で優勝を果たし、日本代表に選出される。163cm

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