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選手の運命を変える頭部死球――。
高橋信二は巨人で復活できるか? 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2011/05/17 10:30

選手の運命を変える頭部死球――。高橋信二は巨人で復活できるか?<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

5月10日、巨人入団会見に臨んだ高橋は満面の笑顔。翌11日の横浜戦に代打で登場したが、巨人での初打席は遊ゴロに終わった

MLBでは脳しんとうの後遺症が深刻な問題に。

 高橋は昨年7月の西武戦で頭に死球を受け、内耳しんとうになって入院した。

 一度は復帰したものの、後遺症から聴覚障害を起こすなどの体調不良で再び登録を抹消され、その後、再び一軍に戻ることはなかった。

 こうした頭部死球や選手との接触による、脳しんとうや内耳しんとうが大きな問題となっているのがメジャーリーグだ。

 ここ数年、接触プレーなどで脳しんとうを起こした選手が、その後にPCS(Post-concussive syndrome=脳しんとう後症候群)という症状を起こす例が頻発している。

 このPCSは脳しんとうを起こした数日後から、数週間にかけて頭痛やめまい、吐き気などが起こり、集中力の低下やひどいときには鬱病を引き起こすケースも報告されている。

 その代表例として挙げられるのが1990年代終盤から2000年代にかけてミネソタ・ツインズなどで活躍したコーリー・コスキー外野手のケースだ。

 コスキーがミルウォーキー・ブリュワーズに所属していた'06年に外野飛球を追って転倒。そのときに頭を強打して脳しんとうを起こし、その後にPCSを発症。復帰を目指してキャンプなどにも参加したが、結局引退へと追い込まれている。

30本塁打100打点の選手が、別人のように打てなくなる。

 その後も、今はタンパベイ・レイズで活躍するケーシー・コッチマン一塁手、ミネソタ・ツインズのジャスティン・モルノー一塁手などがこのPCSに苦しんだ。

 特に昨年7月に二塁に滑り込んだ際に二塁手と交錯して脳しんとうを起こしたモルノーは、その後のシーズンを棒に振ったばかりか、今季も開幕から不振続き。

 5月12日時点で打率2割1分4厘、本塁打もわずかに1本と、'09年には30本塁打で100打点をマークした面影はすっかり消えてしまった。

【次ページ】 MLBは故障者リストに“脳しんとう枠”を新設。

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