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<アフリカの雄を多角分析する> カメルーン 「運命を変えたひとつの死」 ~南アW杯対戦国研究~
text by
ジョナサン・ウィルソンJonathan Wilson
photograph byGetty Images
posted2010/01/23 08:00
新監督により主将に任命されたエトー。今夏のW杯でも彼の出来がチーム浮沈の鍵を握る
エトーをいかにして封じ込めるかが日本の課題となる。
このカメルーンを相手に、はたして日本はどう戦うべきなのだろうか。
まず守備のオプションは2つある。エトーをマンマークする方法と、エトーに対するパスの供給源を断つ方法だ。
だが前者はかなり難しい。スピードでエトーに対抗できるDFは空中戦の高さで競り負ける公算が大きいし、空中戦に強いDFはスピードに劣る危険性があるからだ。
したがって日本にとって最良の選択肢は、ウェボに空中戦で競り負けないようにして、ポストプレーからエトーへパスが渡るのを阻止しつつ、中盤で攻撃的な役割を担うエマナを封じることだろう。スピードの衰えてきたジェレミはまだしも、左SBの位置からオーバーラップしてくるアスエコット(トッテナム)へのケアも忘れてはならない。
カメルーンの「地の利」とも戦わねばならない岡田ジャパン。
攻撃の際にはスピードを活かすことが重要になる。CBのリゴベール・ソングやSBのジェレミは脚が速くないため、カメルーンがボールをキープしながら攻め上がってきたところでカウンターを仕掛け、サイドアタックを展開する方法が有効なように思われる。
併せて、リゴベール・ソングに意識的にプレッシャーをかけていくのも有効かもしれない。'08年のネーションズ・カップ決勝で露呈したように、彼は圧力をかけられるとミスを犯す傾向があるからだ。
そして最後は、相手が持つ「地の利」をいかに克服するかだろう。アフリカで戦えるというメリットは決して軽視できない。
歴戦の将ルグエンの采配、再びやる気と輝きを取り戻した選手、そして地の利。日本にとっても死活的に重要になる6月14日の初戦をものにできるかどうかは、カメルーンの背中を後押しする、これらの「追い風」を覆せるかどうかにかかっている。