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<チームパシュートの期待の星たち> 4つの個性をひとつにして。 ~特集:バンクーバーに挑む~ 

text by

宮部保範

宮部保範Yasunori Miyabe

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photograph byYoshiyuki Mizuno

posted2010/02/06 08:00

<チームパシュートの期待の星たち> 4つの個性をひとつにして。 ~特集:バンクーバーに挑む~<Number Web> photograph by Yoshiyuki Mizuno

リーダー格の田畑は「油断はできない」と気を引き締める。

 今回の日本女子チームは、昨年末に行なわれた五輪代表選考会で結果を残した選手の中から選ばれた。1500m代表の田畑真紀、3000、5000m代表の穂積雅子(ともにダイチ)、500、1000、1500m代表の小平奈緒(相澤病院)、そして1000、1500m代表の高木美帆(幕別札内中)の4人でバンクーバーに臨む。

田畑真紀 (たばた まき)
1974年11月9日、北海道生まれ。駒大苫小牧高卒。富士急を経て、'04年ダイチに入社。五輪は3度出場し、ソルトレイクシティ大会で3000m6位入賞、5000m8位入賞。1500、3000、5000mの日本記録保持者である。162cm、55kg

 トリノの団体追い抜きで苦杯を喫したメンバーの一人で、今回はリーダーとしての役割が期待される五輪4度目の田畑は、見通しをこう語る。

「初戦から相当、厳しい戦いになるでしょう。組み合わせも含めて、運も左右してきます。韓国にはしっかり滑れば勝てると思いますが、油断はできません。オランダには、みんなの力を出し切れば勝てるって感じですかね」

 しかし、「みんなの力」と一口に言っても、そもそもスピードスケートは個人競技だ。チーム力の根幹を成すのは、個々のスピードとスタミナといえる。女子団体追い抜きに必要な適性を、日本女子チームのコーチ、結城匡啓(信州大)はこのように見ている。

「8周で争う男子と違って、6周で勝負が決まる女子の場合は、スピードがより比重を占めます。レース中の1周ラップは1000mのスピードにも迫る。距離は2400m弱ですが、パシュートは少なくとも1周ごとに先頭を交替しながら滑るので、求められるスタミナを個々で滑る距離に置き換えると、1500mより少し長いくらいでしょうか。メンバーの特徴を合わせた時に、1500mより少し長い距離を得意とするくらいが理想です」

田畑の技、穂積の持久力に小平のスピードが加わった。

 今シーズンの日本女子チームは、「1500mでもメダルを狙う」という田畑と、W杯ベルリン大会の3000mで表彰台に上がった穂積を軸にして、残りのひとりが流動的なまま、W杯を戦ってきた。

穂積雅子 (ほづみ まさこ)
1986年9月11日、福島県生まれ。駒大苫小牧高卒業後、ダイチに入社。昨年2月の世界選手権で5000m2位、総合4位と躍進。3月の世界距離別選手権は3000m、5000mともに6位。11月のW杯3000mで2位に入る。162cm、58kg

 小平は昨年11月のへーレンフェインW杯で初めて起用された。結果は4位だったが、羽田雅樹ヘッドコーチ(ダイチ)は「中盤のスピードを落としがちなところで、スピードを維持できた」と、手ごたえを感じた。1000mでメダルを狙い、1500mでも田畑と肩を並べようとしている小平が新たに加わることで、田畑の生み出したスピードを長く維持する目処が立った。

 しかし、この布陣でも、なお一抹の不安が残る。スピードがあり短、中距離に強い小平だが、レースを最後まで完璧に滑り切るスタミナが果たしてあるのか。また、スタミナがあって最後まで粘れる穂積にも、スタート直後と、1回目に先頭に出た時のスピードが不足して、序盤のペースを崩しかねないのではないか、という懸念があるのだ。

【次ページ】 克服すべき弱点を把握している2人に「不安はない」。

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