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女子カーリングの未来を担えるか?
注目の新チーム「フォルティウス」。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byTakaomi Matsubara
posted2011/05/10 10:30
ラテン語で「より強く」という意味のチーム名「フォルティウス」。メンバー全員が常呂町出身の4人は、どこまで絆を深め、強くなれるか?
チーム青森での反省からチームワークの強化を最重要視。
昨年のバンクーバー五輪で、日本代表として出場したチーム青森は、メダルを目標に臨み、8位にとどまった。強豪チームと比べ、足りないものは、と考えたとき、メンバーがたどり着いたのは、「チームワークが足りなかった」という結論だった。
仲が悪いとか、そうしたレベルの話ではない。同じ目標を共有し、厳しい練習にともに取り組み、なおかつ、足りなかったと感じたのだ。
それほど強いチームになるためにはチームワークが重要であること、そしてそれを生半可に築くことができないのは、海外の例が物語っている。
バンクーバー五輪の女子で金メダルを獲得したスウェーデンのスキップ、ノルベリは、チームの強みを「10年以上も一緒に組み、1年中家族同様のつきあいをしています。アイスの上で誰がどう考えているかすぐ分かり、気分の変え方も知っている」と語り、その上で「カーリングはチームワークが非常に重要です。うまい選手を上から4人そろえれば勝てるものではないのです」と言った。あるいはカナダの男子の強豪チームが、お互いをもっと知るために、あえてモーターホームを借りて寝泊りして共同生活を送ることがあるのも一例だ。
長期的展望を持つフォルティウスは日本のモデルケースに?
だが日本では難しかった。競技環境が整わないため、若くして第一線を退く選手がほとんどで、長期的に同じメンバーでチームを組むことができなかったから、ノルベリの言うような意味でのチームワークを作る時間を持つことは困難だった。国際大会でさらに飛躍するための、課題でもある。
だから、メンバーを厳選し、競技環境を整え、長期的にチームを継続する意志を持ち、チームワークを強く意識するフォルティウスには、日本のカーリング界の「モデル」となる可能性がある。
年齢差のあるメンバー構成にも意図がある。
「世界的に見ても、ベテランと若手が融合した、経験と若さのパワーが組み合わさったチームが強い。国内でここまでバランスのとれたチームはないんじゃないですか。ほんとうに理想のチームができました」(小笠原)