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ポルトガル 「ロナウド依存症からの脱却を」 / プレーオフ詳報 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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photograph byTsutomu Takasu

posted2009/12/01 10:30

ポルトガル 「ロナウド依存症からの脱却を」 / プレーオフ詳報<Number Web> photograph by Tsutomu Takasu

本大会出場を決め、雄叫びをあげるぺぺ(下)とブルーノ・アウベス

ポルトガルはロナウドの起用法を再考すべきか?

 シモンはロナウドの代表での葛藤についてこう語っている。

「クラブと代表で同じプレーができるわけじゃない。まずはチームの中でロナウドを生かしていくべきだと思う。チームがロナウドに全てを押し付けていたら攻撃が機能するわけがない」

 11月の最も重要なプレーオフ2試合を、ロナウドは負傷で欠場した。エース抜きで戦うことになったポルトガルだったが、結果的に最少得点差で2連勝。しかし相変わらず決定機をものにできないポルトガルの姿が垣間見られたのも確かだ。

“ロナウドの得点力を生かすにはFWで起用すべき”

 そんな議論も国内では盛んだった。しかしケイロスは「マンUでやっていたようにセンターFWとしてもプレーできるが、最適のポジションはサイドだと考えている」と語っている。

ロナウドとの相乗効果が期待される急成長中のMF。

 ロナウドの能力を最大限にいかすための方法論を見つけ出すのはケイロスに課された最大の仕事だろう。それが今後の課題となるが、攻撃面に関してケイロスはある一人の選手の成長に目を細めているという。

 今予選で急成長を見せたMFラウール・メイレレスである。

 プレーオフとなったボスニアとの2試合でも、最も目立ったのはメイレレスだった。得点だけでなく、チーム一と言われる豊富な運動量を武器に、中盤から前線まで駆け回り、チャンスに最も多く絡んでいる。

“この代表のコンパスともいえる存在”(ABOLA紙)

 周囲の評価も急上昇中だ。

 4-3-3の中盤の一角となるこのポジションは、当初は23歳のモウチーニョが有力視されていた。しかしケイロスは「運動量と攻撃センス」を高く評価し、今予選ではメイレレスを主力として起用している。

予選で苦しんだがメイレレスやペペの起用法では成功した。

 中盤中央でショートパスをつなぎ、サイドで突破力のある選手が崩すというのが、ポルトガルのベーシックな攻撃パターンだ。

 持ち前の高い技術とパスセンスでボールをつなぎ、スピードを上げて前線へと飛び込んでいく。ケイロスが評価しているのは、メイレレスがそれを90分間持続できる肺を持っているからだろう。

「もちろん彼だけではないが、メイレレスの献身には感心している」

 指揮官の信頼は厚い。今後はロナウドとメイレレスが攻撃の中心を担っていくのではないか――。前線でロナウドとの相乗効果に期待するファンも多い。

 メイレレスの成長以外にも、決して順調に進んだとはいえない今予選の中では収穫もあった。

 予選で同グループとなったスウェーデン、デンマークの高さ対策として発案した、本来はセンターバックであるペペの守備的MF起用は、今では完全にチームに定着している。

【次ページ】 南アフリカで躍動するポルトガルの姿は見られるか?

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