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獅子の遺伝子BACK NUMBER
今年の西武はなぜ勝てる? 西口文也監督“しなやかな勝負師”の知られざる原点を探る「え、西武に入団したのにいきなりアメリカ武者修行…!?」
posted2025/05/24 11:01

現役時代の西口監督の勇姿。常に飄々としたメンタルの原点はプロ1年目の意外な経験にあった?
text by

佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Naoya Sanuki
埼玉西武ライオンズの快進撃が止まらない。今シーズンはここまで貯金3の3位(5月23日時点)と、球団ワーストの91敗を喫した昨シーズンの歴史的低迷が嘘のような躍進だ。今シーズンから指揮を執る西口文也監督の手腕とは? ライオンズ一筋21年の右腕の知られざる原点とその横顔を探った。〈全2回の前編/後編を読む〉
連勝中だったこの日、インタビュールームに現れた西口監督はニヤリと笑い、その手で顎を撫でた。
「験担ぎで髭を伸ばしているんですよ」
見れば顎髭が少しだけ伸びている。
監督になって、勝ちたい欲がね
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「選手の時はそういうのは全くなかったんだけど、今は勝ちたいからね。監督になって勝ちたい欲が強いから、験を担ぐようになったんです」
飄々とした、という形容が似合う。指揮官としてベンチに座る表情に、激しい喜怒哀楽の色はない。かといって、終始ポーカーフェイスの「鉄仮面」というわけでもない。アルカイックスマイルを浮かべながら、いいプレーが出れば目尻を下げ、ピンチには少し困ったように眉を下げる。
あまり表情は出さないように
「先発投手として自分がマウンドに上がっている時から、あまり表情は出さないようにはしていました。嬉しい時はいいかもしれませんが、打たれて落ち込んでいる姿は、周りの人には見せちゃダメ。そこはベンチでも一緒だと思うんですよ。監督が怒り狂ったり落ち込んだりしている姿を、選手も見ているかもしれない。だから僕はずっとこういう感じです。穏やかに、穏やかに……」
柳に風。現役時代、その投球フォームも柳のようにしなやかだったことを思い出す。そこから投じるキレのあるストレートとスライダーを武器に、淡々とアウトを重ね、182個もの白星を積み上げた。