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「やっぱり縁があったから…」高校駅伝で話題の“集団転校”…転校して“来られた側”の経験者が「都大路で初出場・初優勝」を経て伝えたいこと
posted2025/05/19 06:02

昨年12月の全国高校駅伝で準優勝した福岡・大牟田高のエース、本田桜二郎。4月からは鳥取城北高に転校し、すでに好走を見せている
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和田悟志Satoshi Wada
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Satoshi Wada
この3月、高校駅伝屈指の強豪である福岡・大牟田高の駅伝部員が、鳥取城北高に集団転校すると報じられた。大牟田高は昨年の都大路で準優勝したチームだけに、鳥取のみならず全国の勢力図を変えることにもなりそうだ。実は、高校駅伝界での集団転校はこれが初めてではない。中でも2012年に宮城・仙台育英高から愛知・豊川高へ選手が転校した際には、そのまま都大路で「初出場初優勝」を果たすなど、大きな話題となった。その時、内部では何が起こっていたのだろうか。《NumberWebインタビュー全3回の3回目/最初から読む》
豊川高の快進撃は、師走の都大路でも続いた。
初めての全国大会でも、前日までは意外にもリラックスしていたという。アンカーを走ることになった2年生の皆浦巧さんは、宿舎で「ゴールのポーズ、どうしましょう?」などと周囲と会話を交わす余裕もあった。
「一色(恭志、3年)さんがアンカーを走ったことがあったので、アドバイスをもらったりしました(笑)。とにかく『この先輩たちなら大丈夫だろう』という安心感がありましたから」
初の都大路でも…3区で独走態勢に
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当日を迎えるとさすがに緊張感が高まり「浮き足立ちまくりでした」と言う。そんな皆浦さんをよそに、チームメイトたちはスタート直後から圧巻のレースを見せた。
1区・服部弾馬(3年)が風邪気味ながら区間2位と好位置でタスキをつなぐと、3区のカレミ・ズク(3年)でトップに立ち、2位に1分15秒もの差を付けて独走態勢に入った。
皆浦さんにタスキが渡った時には、2位の西脇工業高には2分以上の大差が付いていた。
「自分がタスキをもらった時にはダントツで、もう勝負は決まっていました。『アンカーは誰でもよかったじゃん』みたいなことを言われたりもしましたが(笑)」