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「91敗より負けることはない」西武の歴史的低迷→今季快進撃の秘訣は西口文也監督の“飄々”強心臓?「僕、メンタル強いですよ(笑)」

posted2025/05/24 11:02

 
「91敗より負けることはない」西武の歴史的低迷→今季快進撃の秘訣は西口文也監督の“飄々”強心臓?「僕、メンタル強いですよ(笑)」<Number Web> photograph by Wataru Sato

昨季の大低迷から一転、今季は強力先発陣を中心に接戦を守り切る好調な戦いぶりを見せている西武・西口文也監督に話を聞いた

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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Wataru Sato

パ・リーグ3位と躍進中の埼玉西武ライオンズを率いる西口文也監督。歴史的低迷にあえいだチームを引き受けて指揮を執る思いと、目指す監督像とは——。〈全2回の後編/前編から読む

 西口監督は現役時代、5人の監督のもとでプレーしている。自身を見出した東尾監督に始まり、伊原春樹、伊東勤、渡辺久信、田邊徳雄。いずれも個性的な指揮官だが、影響を受けた監督像について尋ねると、困ったように首を傾げた。

全く誰の影響も受けていない?

「うーん、よく言われるんですけど……。それがね、全く誰の影響も受けてない」

 そのココロは?

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「誰を理想に、となると、采配の仕方とか、ひょっとしたら考え方までその人に寄ってしまうかもわからない。僕は現役時代から常に、自分は自分、という考え方なんです。監督になっても自分が思うようにするだけ。失敗しても成功しても全部自分にそれが跳ね返ってくるので結局はそれが一番いいのかな、って思うんです」

 現役時代、指導者の道を意識したことはなかったという。2015年限りで現役引退し、翌年は台湾や韓国のプロ野球でコーチを務めたり、アメリカの野球を視察したりと広い視野で見聞を深めた。その後一、二軍の投手コーチを経て2022年にファーム監督に就任。若い才能を育成する現場を任されたことは、キャリアの中で印象深い出来事だったという。

「ファームの現場は勝つことはもちろん、選手を育てていくことが一番大事。そんな中で、わけのわからないプレーが出たり、想像もしないようなことが起こったりするんですよ。野球って面白いな、って(笑)」

個性を尊重する指導で

 育成年代には、技術的にも野球知識も未熟な選手がいる。一方、伝統的に“一芸”に秀でた才能を積極的に発掘するドラフト戦略をとってきたライオンズには個性的な選手も多い。ファーム時代の西口監督は、色彩豊かな才能を楽しみながら個性を尊重する指導に重きを置いていた。

【次ページ】 野手の伸び悩みという問題

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