サハラマラソン挑戦記BACK NUMBER
東日本大震災で物資は無いが……。
いざ行かん、サハラマラソンへ!
text by
松山貴史Takashi Matsuyama
photograph byMiki Fukano
posted2011/04/01 06:00
荷造り中に荷物が散乱した寮の部屋で
日焼けサロンで、パンツを脱ぐべきかどうか迷う。
日焼けサロンは初体験だが、じつは前々から行ってみたいと思っており機会を窺っていたのだ。一人で行くのは心細かったので「色黒のほうが逞しく見えて、面接に有利じゃないか?」と就職活動中の同輩を巧みに騙して一路、池袋へ。
対応してくれた店員さんが、最早どこの国の方か分からないぐらい真っ黒だったので心配になったが、後には引けない。パンツを脱ぐかどうか聞き忘れてしまったため、ひどく混乱した。迷いつつも結局は脱いだのだが、後で確認するとやはり基本は脱ぐものらしい。……良かった。
しかし、日焼けマシンの高性能っぷりには驚いた。結構焼けた気がする。果たしてこれがサハラ砂漠で役に立つかどうかは疑問符が付くが、なかなか楽しい一日であった。
いろんな雑誌に出る勢いで、女性誌にも登場してみたが……。
もう一つ別の雑誌に掲載された話も一つ。
講談社『FRaU』、あの働く女性の雑誌『FRaU』にである。以前コラムにも書いたとおり渋谷で声をかけてくれた女性がいたのだが、それが『FRaU』編集部の方で、冗談で「出してください」と言ってみた。すると数日後に「彼氏と食べる料理特集というのがあり、男性がいた方が雰囲気出るのでどうですか?」と連絡が来た。二つ返事でOKを出したが、詳しく話を聞くと「料理がフォーカスされていて今回は手だけ写る」とのことであった。いわゆる「手タレ」である。しかし、女性誌に載る機会なんて滅多にないので、喜んで撮影に出かけた。
かなり緊張して「“フラウ”ってドイツ語で『女性』って意味ですよね? ドイツ語科でよかったです」と意味不明なことを話していると、撮影はものの10分で終了。あとは料理研究家の平野由希子さんが作るカレーをひたすら食べていた。誰でもよい仕事だったんだなと思いきや、白羽の矢が立った理由はPVで手が綺麗だったことだと思いがけない理由が挙げられた。PVを制作してくれたPaul先生に感謝しなくては。
スネークポンプやヘッドライト、英字の健康診断書などを用意。
そんなこんなと駆け回っているうちに出発まで残り一週間。少ない残り時間は足りないものを買い揃えていくことに忙殺された。
噂の「スネークポンプ」もようやく手に入れた。別名「ポイズンリムーバー」というらしい。三軒回って二軒売り切れ。案外日本でも需要があることが分かった。普段見たことがないが、果たして誰が使っているのだろう。
そして困ったのがヘッドライト。サハラではオーバーナイトステージ(約80km)があるので、絶対に用意しなくてはいけない。家電量販店やアウトドアグッズのショップに行っても、アルファ米に続き地震の影響でどこも売り切れ。フランスに行ってから買うか……と半ば諦めていたら、なぜかドン・キホーテにあった。300円。電球がソケットなのが気になるが、まぁ仕方ない。
現地での提出書類に「健康診断書(英字)+心電図」とあった。病院に行き、脈を測って、身長・体重・血液型を記入するだけだったが、<英字の手数料>というものにかなりの金額を取られた。診断書のチェック項目や単位は元からアルファベットだし、数字なんて万国共通じゃないか……と疑問に思いきや、サインした場所の欄に英語で「Tokyo,Japan」と書いてあった。ここだけ、確かに<英字>で書いてある。医者は偉大なり。