Number Do MoreBACK NUMBER
<100人が語るRUN!特集> 村上春樹へのQ&A 「そうだ、ランナー村上さんに聞いてみよう」 (3)
text by
村上春樹Haruki Murakami
photograph byMizumaru Anzai
posted2011/03/31 06:00
ラン歴30年の村上さんがWEBで募った質問・疑問に、
ときどき真面目に、ときどきおかしく答えてくれました。
「Number Do」の第2弾「100人が語るRUN!」に掲載されたQ&A。
Number Webでは4回にわけて公開していきます。
Q.1~Q.9 Q.10~Q.16 Q.17~Q.22 Q.23~Q.26
Q.17 シューズや時計、ウェアからサングラスまで、村上さんが走る上で、これだけははずせないという、こだわりの一品があったら教えてください。 (30代・男性)
ウェアはそれほどこだわらないけど、速乾性のものはいいと思いますね。昔は汗をかくと乾かなくて大変だったけど、最近はすごく便利になりました。
シューズに関しては、僕は足がもともと丈夫で、どんな靴でもどんな靴下でもぜんぜん何も感じないから、特別なこだわりはないです。ただ靴を選ぶときは、まず軽さを見ます。トレーニング用かレース用かというのもあるけど、僕は兼用ですこし軽めのものが好きですね。あとは、長さと足の甲の幅が選べるものを買うことが多いです。長さに比べて、幅が少し広いので、必ず履いて確かめます。僕はよくハワイで靴を買うんだけど、「ちょっとそのへん走ってきていいですか」と言って、近所をひとまわりしてくる。新宿とか神保町じゃなかなかそうはいかない。
そういえば、この間10kmレースのときに時計を忘れちゃって、どうしようかと思ったけど、ともかく身体と対話しながら息の上がらないペースで走ったら、すごく気持ちよかったです。時計をつけているとどうしても見ちゃうし、見ちゃうと速く走らなくちゃと思いますよね。ときどき時計なしで走るのもいいんじゃないかな。
Q.18 村上さんは走る前や走った後に、こだわって食べている物は何かありますか? 「マラソンの前日には必ずコレ!」とか「完走後には無性にコレが食べたくなる!」、「コレを食べると調子がいい!」とか。 (30代・女性)
とくにはないですね。ごく普通に食べている。こだわると遠征したとき面倒くさいことになるから。昔、サラザールっていうアメリカのマラソンランナーがいて、福岡国際を走ったんだけど、彼はいつも朝パンケーキを食べていたそうなんですよ。でも当時、福岡に朝パンケーキを出している店がなくって、すごく混乱したみたいです(笑)。そういうのって不便ですよね。
Q.19 走っていると、ときどきですが、とっても幸せな気分になることがあります。なんだか自分がやさしくて、とってもいいヤツにでもなっているような、そんな気分です。錯覚だとは思うのですが、この気分はいったいどこからやってくると思いますか? (40代・男性)
どこから来るんでしょうねえ。いやな記憶がふいに蘇ってくることがあると言ったけど、でもポジティブなことを考えていることのほうがずっと多い気もしますね。不思議だけど。誰かがほめてくれたこととか、うまくいったことの感触を思い出したりすることはあります。血の循環がよくなると、わりにポジティブなことを考えるんじゃないかな。