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ヴィクトワールピサがドバイWC制覇!
日本競馬、21頭目の挑戦で偉業達成。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byREUTERS/AFLO
posted2011/03/28 12:15
2010年は、皐月賞、有馬記念を制覇しているヴィクトワールピサ(フランス語で「勝利の山」の意)。有馬記念では、ラストで追い込んできたブエナビスタを抑えて勝利を飾っている
ついに日本のサラブレッドが世界の頂点に立った――。
現地時間3月26日夜(日本時間27日未明)、ドバイ・メイダン競馬場で行われた世界最高賞金(1着600万ドル=約4億8000万円)のドバイワールドカップを日本馬がワンツーフィニッシュで制し、震災でうちひしがれた遠い母国に勇気と元気を送った。
今年のドバイワールドカップに出走した日本馬は3頭。
うち1頭、ヴィクトワールピサを管理する角居勝彦調教師は、レース前、現地メディアにこう話していた。
「日本の3頭はそれぞれタイプが違うので、どんな展開になっても、どれかにチャンスが回ってくると思います」
チャンスに恵まれるのは、昨年のグランプリホース、ヴィクトワールピサか。
ダート王のトランセンドか。
それとも、切れ味を武器に数々の大レースを制し、「史上最強牝馬」の呼び声高いブエナビスタか。
ドバイWCは、芝でもダートでもないオールウェザーのコース。
ドバイワールドカップの舞台は、昨年新設されたメイダン競馬場の「タペタ」というオールウェザー(AW)コースの2000m。3頭とも調教ではタペタを走ってはいるものの、実戦では未経験だ。
レース当日、大量の水がまかれたこともあって、去年よりかなり時計がかかる馬場状態になっていた。時計がかかる馬場、つまり、パワーがいる馬場をもっとも歓迎する日本馬は、どう考えてもトランセンドだ。
ゲートがあいた。
藤田伸二が騎乗する、そのトランセンドがすんなりとハナに立ち、1、2コーナーを回って行く。
対照的に、ミルコ・デムーロのヴィクトワールピサとライアン・ムーアのブエナビスタは、15馬身ほどの長さになった馬群の最後方からレースを進めている。
トランセンドが引っ張る流れは、向正面に入るとスローに落ち着いた。このまま藤田がペースを落として主導権を握るのかと思われた、そのとき――。