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「リングで死ぬ覚悟がある」井上尚弥に挑む29歳ラモン・カルデナスとは一体何者なのか?「イノウエが私を軽視している、なんて騒ぐつもりはない」

posted2025/05/01 11:02

 
「リングで死ぬ覚悟がある」井上尚弥に挑む29歳ラモン・カルデナスとは一体何者なのか?「イノウエが私を軽視している、なんて騒ぐつもりはない」<Number Web> photograph by Mikey Williams/Top Rank

井上尚弥に挑戦するラモン・カルデナス(29歳)

text by

杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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Mikey Williams/Top Rank

 “モンスター”に挑むラモン・カルデナスとはどういう選手なのか。

 現地時間5月4日、世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥はラスベガスのT-モバイルアリーナでカルデナスと対戦する。井上にとって2021年6月以来のラスベガスリング登場となり、この一戦への注目度はアメリカでも高い。

 ただ、挑戦者のカルデナスはほとんど知らないというファンは多いのかもしれない。29歳のメキシコ系アメリカ人、カルデナスは26勝(14KO)1敗。しばらくは無名の存在であり続けたが、2017年9月以降は14連勝(5KO)でランキングを上げてきた。決戦を間近に控え、カルデナスとの独占インタビューで井上戦への意気込みを語ってもらった。その真摯で力強い言葉から、聡明かつ真っ直ぐな挑戦者の素顔が透けて見えてくる。《NumberWebインタビュー全2回の前編/後編も公開中》

「最近はフォロワー多いボクサーばかり…」

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――井上戦が決まったと知らされた瞬間、どこで何をしていたのでしょう?

ラモン・カルデナス(以下、RC) 地元のサンアントニオにいて、食べ物を買っている最中だった。バーベキューの店でお肉を注文したところでマネージャーのマイケル・ミラーから電話があり、「イノウエと戦わないか?」と言われた。「うん、いいですよ」と答えたら、「わかった、じゃあ5月4日な」と(笑)。「本気で言っているんですか?」と聞いたら「その通りだ」と返され、とにかく興奮したのを覚えているよ。

――相手は全階級を通じて最高とも評価されるチャンピオン。その選手と戦えることが喜びだったんですね。

RC もちろんだ。よくこの話をするんだけど、最近のボクシングは“人気コンテスト”になってしまったと感じている。最強の選手同士が戦うのではなく、チャンスを得るのはインスタグラムのフォロワーが多いボクサーたち。フォロワーが少ないと、「あなたのことは誰も知らない」と言われてしまう。私はWBAランキング2位、他の世界王座統括団体でもトップ10にランクインしているが、誰もそんなことは気にしない。ランキングよりもインスタグラムの方が大事なのだろう。そんな状況の中でこうやってチャンスが得られたことに興奮しているよ。話があったときは、「100%、絶対やる」という気持ちだった。

――井上はスーパーバンタム級の4つのタイトルをすべて持っているわけですが、挑戦を目標にしていたのでしょうか?

RC 世界王座獲得がずっと私の夢であり目標だった。1つの世界タイトルに挑めれば“ドリーム・カムズ・トゥルー”なのに、幸運なことにイノウエとの対戦では4つの王座をすべてかけて戦える。本当に恵まれているし、楽しみ。この試合を受け入れてくれたイノウエには感謝しかない。

【次ページ】 「ピカソは報酬を吊り上げようとしたんだろうが…」

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#ラモン・カルデナス
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