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体操・杉原愛子25歳、“異例の復活劇”はなぜ起こった? 日本代表入りから“10年目”…トップで活躍し続ける理由「自分の楽しい体操を、みんなに」

posted2025/04/23 17:01

 
体操・杉原愛子25歳、“異例の復活劇”はなぜ起こった? 日本代表入りから“10年目”…トップで活躍し続ける理由「自分の楽しい体操を、みんなに」<Number Web> photograph by AFLO

体操の全日本個人総合選手権で2位に入った杉原愛子

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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 体操の全日本個人総合選手権が4月17日から20日まで群馬・高崎アリーナで開催され、五輪2大会に出場した杉原愛子(TRyAS)が2位になった。準優勝も表彰台も2017年以来8年ぶりという、杉原自身も驚く好成績だ。

 2度の五輪出場を経て22年6月に競技生活に“一区切り”をつけ、23年には株式会社TRyASを設立して代表取締役社長に就任した杉原。しかし、体操を楽しむ姿を表現しながら世界に挑戦したいと、23年12月に現役復帰を決めた。パリ五輪の出場は惜しくもかなわなかったが現役続行を決意し、再び情熱を燃やしている。

 今後、5月のNHK杯(東京体育館)で2位以内になれば、19年以来6年ぶりの世界選手権代表入りが決まる。また、得意のゆかで種目別代表となる可能性も残しており、女子体操選手としては異例の復活劇が現実味を増している。

新曲のゆかで見せた“圧倒的な存在感”

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 経験豊富な25歳の躍動は、高崎アリーナにエネルギッシュでさわやかな風を吹かせていた。

 予選を2位で通過した杉原は、難度を上げて臨んだ決勝でも2位。跳馬では「ユルチェンコ1回半ひねり」の着地をピタリと止め、段違い平行棒では今年から新たに採り入れた「パク宙返り」をしっかりと成功。平均台では何度かぐらつく場面はあったがしぶとくこらえ、新曲で臨んだ最後のゆかでは圧倒的な存在感を示した。

「どうなるかなとドキドキしたけど、この空気を楽しまないと1分1秒がもったいないと考えを変えて演技をした。楽しくできた」

 最終種目のゆかではアクロバット技の数を増やして予選よりも0.4点高いDスコア5.6点の高難度構成に挑んだため負荷がかかり、連続技の着地でフロアに手をつくミスがあった。

「得意としているゆかで攻めに行って手をついてしまったのが心残り」と悔しさをにじませるが、高さのあるタンブリングと華のある振り付けでスタンドの視線を釘付けにしていたのは間違いない。

【次ページ】 日本代表入りから“10年目”…なぜトップで活躍し続けられる?

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