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体操・杉原愛子25歳、“異例の復活劇”はなぜ起こった? 日本代表入りから“10年目”…トップで活躍し続ける理由「自分の楽しい体操を、みんなに」 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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posted2025/04/23 17:01

体操・杉原愛子25歳、“異例の復活劇”はなぜ起こった? 日本代表入りから“10年目”…トップで活躍し続ける理由「自分の楽しい体操を、みんなに」<Number Web> photograph by AFLO

体操の全日本個人総合選手権で2位に入った杉原愛子

 自身の発案によるスパッツ型ユニフォームの「アイタード」でも観客の目を楽しませた。

「体操競技ではあるけど、アイタードでしかできないデザインをしたいなと考えて、K-POPアイドルの衣装を参考にした」と言い、予選は黒い短パンにベルトをしているようなデザイン。決勝はジーンズ調の短パンに見えるデザインにクロップド丈のトップスを着ているようなデザイン。予選と決勝でイメージがガラリと変わった衣装を含めてトータルで自分をプロデュースすることも、モチベーションアップにつながっている様子だ。

日本代表入りから“10年目”…なぜトップで活躍し続けられる?

 杉原は高校1年生だった2015年の全日本個人総合選手権で自身最初の表彰台となる3位に入り、同年のNHK杯で初優勝を飾って日本代表入りを果たした。以来、今年でちょうど10年。10代の活躍が目立つ女子体操界で、22歳から24歳にかけて1年半のブランクを置きながら再び日本のトップで活躍できる理由は、「大好きな体操を楽しみながら頑張りたい」という杉原自身の言葉に集約される。

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 それに加えて、一線から退いていた期間に母校の武庫川女子大学でコーチをしながら基本技術の見直しを図ったことも8年ぶりの表彰台という成績を後押ししている。中でも跳馬のロンダート以降の空中姿勢については、大会のテレビ解説を務めた元日本代表・寺本明日香さんが「以前と動き方を変えて良くなっている」と指摘。10代の頃はひねり技が得意なイメージだったが、ここ数年はゆかの屈身ダブルの高さも以前より力強くなり、安定感が上がっている印象だ。

 表彰台では優勝した17歳の岸里奈(戸田市スポーツセンター)、3位の13歳(中学2年生)南埜佑芽(なんば体操クラブ)とともに笑顔を見せた。10歳以上も年齢の違う選手と並ぶ姿にはやはり貫禄が漂うが、一方でつねにフレッシュさを漂わせている。

 今回の全日本個人総合選手権はルール変更に伴って新たな技も使ったことで不安もあったというが、「予選では同じ班で回っていた子たちが団体チームみたいに声を掛け合って、すごく楽しい雰囲気でできた。めっちゃ楽しくできたのが結果につながったんじゃないかな」と年下の選手への感謝も忘れなかった。

【次ページ】 「日本にはほぼいない」杉原が打ち破る“ある価値観”

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