猛牛のささやきBACK NUMBER
「オリックスで良かった」西川龍馬がFA移籍2年目で覚醒…ヒット量産の秘密と“メジャー断念”の真相とは「行きたかったです。でも…」
text by

米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byJIJI PRESS
posted2025/04/22 11:02

今季好調のオリックス・西川龍馬
移籍1年目の戸惑い
その自身の決断を実らせようと奮闘したが、昨年は思うような結果には届かなかった。広島では「天才」の名をほしいままにし、打率3割も当たり前だった西川が、昨年は.258に終わった。
忸怩たる思いがあっただろう。昨年11月の契約更改の際、こう語っていた。
「自分が思っていたのと、数字にだいぶ誤差があったので、あまりいいシーズンではなかった。個人としても、チームも。大きな怪我なくシーズンを完走できたのはよかったんですけど、数字が物足りないというのは自分でもわかっています。
ADVERTISEMENT
セ・リーグとパ・リーグは思っていた以上に違った。もうちょっとできるかなと思ったんですけど。ピッチャーももちろんですし、移動等もだいぶ違った。僕は飛行機があまり得意じゃないので。来年はしっかり慣れていきたいなと思っています。今年みたいな成績は、もう残せないので。来季はしっかり数字を残して、チームに貢献できるように頑張ります」
2年目の本領発揮…変化は「気持ちの部分」
オフのテーマには、筋量を増やすことや、納得いくまで打ち込むことなどを挙げた。
移籍2年目の今年は、開幕戦を5番レフトで迎えると、いきなり3安打を放ち、2戦目も2安打。2カード目のロッテ戦からは、状態のいい西川に初回から打席が回るようにと3番に据えられ、4日連続マルチ安打の活躍で打線を引っ張り、チームの開幕ダッシュに大きく貢献した。
今年好スタートを切れたのは、パ・リーグの投手にある程度慣れたことも一因だが、それよりも「気持ちの部分」が大きいと西川は言う。
「2年目なのでもう要領もわかるし、気負うこともなくできているので」
ストレスになるような要素を減らし自分のペースを作りやすくしたことで、気持ちに余裕が生まれた。例えば移動の際、飛行機が苦手な西川は、チーム本体とは別に1人だけ新幹線で移動することもある。
「(飛行機は)あんまり信用してないです。安全だってわかってるんですけど……。僕は断然、新幹線派。今年は自分のペースで行こうかなと」