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MAX134kmしか出ずバスケ転向も考えた「NPBで一番背の高い男」ゲレーロの“数奇な運命”「試合結果をいつも見ていた」ロッテに3年ぶり復帰で目指す夢
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梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2025/04/18 06:02

3年ぶりにロッテに復帰したゲレーロ
アカデミーをさすらった苦闘の日々
プロ入りの道のりも紆余曲折だ。16歳の時に野球の地域代表に選ばれた。アストロズのアカデミーコーチの目に留まり、投手として野球を本格的にスタートした。その後、アカデミーを転々とする。まずデビルレイズのアカデミー、続いてパドレスのアカデミーへ。なかなか芽が出ないまま、メジャーのアカデミーを転々としながらプレーした。アカデミーに在籍をしていればトライアウトを受けられる。そのチャンスを掴もうと、もがき苦しんだ。
トライアウトを5回、受けて落ちた時に決めた。
「もう、野球はやめようと思った。背が高いからバスケットをしようと。それでアメリカでプロを目指そうと思った」
バスケ転向も考えた
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トライアウトを終えた足でそのままバスケットボールの強豪校に向かい「背が高いし練習に参加をしてもいいよ」と練習参加の承諾を得た。しかし、人生は不思議なものだ。バスケットボールの練習を始めて数日した時、メジャーのスカウトから「明日、トライアウトを実施するからもう一回、受けないか」と誘いを受けた。
もう野球は辞めると決めていた。母にそのことを伝えると「もったいない。最後に受けてみなさい。神様からの贈り物かもよ」と背中を押され、もう一度だけチャレンジした。そして6回目の挑戦でパドレスの目に留まることになる。
「何回もトライアウトを受けたけど、契約をしてもらえなかった。だってストレートは120km台だから。もしあの時、母の後押しがなければ、今ごろ、アメリカでバスケットボール選手になっていたかもしれない。今、日本にいることもなかった」とゲレーロは導かれた縁に今も感謝する。
みるみる大きくなった身体
パドレスと契約して、まず派遣されたのはドミニカのサマーリーグだった。そこでフォームを一から教えてもらい、リリースポイントが大事であることを指導された。トレーニング方法も学んだ。栄養面のサポートも受け、プロテインを飲むようになった。細かった身体がみるみるうちに大きくなっていた。当時の体重は70kg台。今は110kgを越す。130kmを出すのが精一杯だったストレートも、5カ月後には150kmを計測するようになっていた。そして2016年についにメジャーデビュー。ストレートは最速167kmを計測した。その後、日本からオファーがありマリーンズに来た。2022年の事だ。